出版業界の制度・体制が変わる時

公開日: : 出版, 出版社, 図書館, 本の電子化, 電子書籍

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「株式会社楽天が出版取次3位の大阪屋栗田(大阪市)を買収する」そんなニュースがリリースされました。
4月に追加出資し、出資比率をこれまでの3割から5割超に高めて子会社にするとのこと。楽天のネット書店と、大阪屋栗田が取引する2000以上の書店との連携を強化することで、購買履歴などを相互に分析し、販売予測の精度を高めることで、現在4割となっている書籍の返本率を低下させる狙い。ネットとリアルの融合で、書籍販売の落ち込みに歯止めをかけようと考えているようです。

これまでの配本は、書店の売上高や規模などに応じて取次会社主導で行われて来ました。しかし、人気のある書籍が特定の大型店に偏って配本されてしまうことで、全国の小規模な書店に十分に届かず、業界全体の機会損失につながっているとの指摘もありました。取次会社は出版社が発売した書籍を仕入れて、全国のリアル書店やネット書店などに卸しているわけですが、売れ残って書店から出版社に返品される書籍が、年々増加しており、返本率は4割に達しています。以前から叫ばれている、出版流通の体制が改めてクローズアップされ始めました。そんな中、アマゾン社は取次会社を通さずに、出版社から直接仕入れる割合をどんどん増やしています。

今回の買収により、楽天が持つ独自の需要予測システムを活用し、売れ筋作品を効率的に全国の書店やネット書店に配本する仕組みが確立すれば、返本率も減少し、新しい流通体制が生み出せるのではないかと期待します。

活況となってきた電子図書館

そんな楽天の傘下で、図書館向けの電子書籍流通に特化している企業があります。先日のブログでも紹介した「OverDrive」です。楽天が2015年にOverDriveの全発行済み株式を約4.1億ドル(約433億円)で買収し、完全子会社化としています。世界4200ヶ所の図書館に電子書籍の貸出サービスを提供しており、2013年の設立以来、累計の貸出件数が10億件を突破したとのこと。

アメリカで売上が低迷している電子書籍市場ですが、近年は大幅に価格を下げて提供されるようになり、出張や旅行中に読むためにまとめ買いをしている人々からの利用が多いようですね。そしてさらに安く手に入れようとする人々が、無料の図書館貸出サービスを利用している。調査機関「ピューリサーチセンター」のデータでは、2016年時点でアメリカの成人の65%が「紙の書籍を読む」と答えています。「電子書籍を読む」と回答した人が28%、「オーディオブックを聞く」と答えた人が14%でした。依然紙の本を読むという人が多いわけですが、僕からすると、約30%もの人が電子書籍を読んでいるんだという、ちょっとした驚きもあります。サンプル数が出ていないので何とも言えませんが、オーディオブックと合わせると約4割の人がデジタルを利用しているわけです。定額読み放題や、電子図書館、さらにオーディオブックなど、デジタルの利を生かした様々な読書環境が提供され、今後さらにコンテンツが増えていくことで、この数字は逆転してもおかしくないところに来ていると思います。

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業界のスタンダードを変革しよう

日本では、電子書籍の普及はまだ時間がかかりそうな印象ですが、学術誌のアーカイブや、絶版や品切れ重版未定となった本を電子書籍にしたいといった話は、途切れることなく舞い込んで来ます。本を出すということで、自分の仕事を知ってもらう、セルフブランディングをするというように、出版をビジネスに活用する場合は、比較的簡単に出版ができる電子書籍が重宝するのではないでしょうか。ビジネスにおいて電子書籍を出していることがスタンダードになってもおかしくはないでしょう。

紙の書籍は、これまでの流通体制と、出版社・取次・書店の関係性を改革することで、より効率的で消費者目線のサービスになるでしょうね。電子書籍は、紙で実現できなかったこと、「不」となっていた部分を補うことで、十分利用者の拡大が考えられると思います。出版業界がますます混沌としていく中で、新しい制度やサービス、読書環境を生み出す機会が訪れているかもしれませんね。

 

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