愛を給仕するレストランCasita

公開日: : 仕事のあり方, 付加価値, 羅針盤

“一日一字を記さば一年にして三百六十字を得、一夜一時を怠らば、百歳の間三万六千時を失う。”

ご存知のとおり、幕末の長州藩士吉田松陰の言葉である。死ぬことと時間は、この世に生を受けた全ての人に平等に与えられたもの。その時間をどのようにして使うか?それによって人生は大きく変わる。吉田松陰が言うように一日一時の怠りが、人生百年で考えると三万六千時を失うことにもなる。それだけ時間は有限であり貴重なものだ。

常に時間を意識して仕事や家事を行い、日常生活を過ごす僕たち。僕は特に最近時間を強く意識しながら仕事をしている。それこそ分単位で行動を決め、それに沿って仕事をこなしていく。もし時間をロスしようものなら、自分の不甲斐なさと出来の悪さを恨む気持ちに苛まれるほどだ。そんな日々を送っていると、食事の時間も安らぎの時間もなくなっていく。きっと同じような時間を過ごす日本の社会人の皆さんが多いのではないだろうか?

意外性のさらに先をゆく

僕は昨日会社の仲間と一緒に、夕暮れ時の東京青山に訪れていた。
最高のホスピタリティーを提供するという、イタリアンレストラン「Casita青山店」に視察称して食事に行ったのだ。夕方から青山のレストランで、ワインを傾けながらゆっくりと食事をするなんて、日頃の生活からでは考えられない。何が一体ホスピタリティーなのか?半分訝りながら半分ワクワクしながらエレベーターに乗り込む。

3階でエレベーターが開いた瞬間、3人の女性スタッフがとびきりの笑顔で出迎えてくれた。僕たちと一緒に別のゲストも乗っていたので、きっと3人もいたのだろうと思った。が、席に通されるまでの間も何人ものスタッフに笑顔で声をかけられた。明らかにスタッフの数が多い。後で聞いたことだが、はやりその数は一般のレストランの約3倍だったそうだ。そんなに多くの人を配する理由は、自分たちのホスピタリティーを実現するためだという。コスト削減と効率化が叫ばれる昨今において、トレンドとは真逆を行っている。

席に通されると、早速のサプライズが。
テーブルに置かれたナプキンに僕の名前と会社のロゴが。なんと名前は縫い付けられている!ペンで書いたり、シールを貼ったりはあるかもしれないが、名前が刺繍されているのには驚いた。さらに、乾杯用のシャンパンボトルのエチケットが普通と違う。よく見ると、会社のロゴがさりげなくあしらわれている。これだけでも笑いと感動を生む。しかしながら、このお店の仕掛けはこの程度では収まらない。

追加で注いでくれた水のボトルにも、魚料理に合わせてセレクトされた白ワインにも、肉にぴったりだと言って持ってきてくれた赤ワインにも、食卓を柔らかに照らすアルコールランプにまで、会社のロゴや事業のアイコン、さらに会社の理念や想いが載せられているのだ。ここまで来ると笑いしかない。それは決して面白可笑しいという笑いだけではなく(まあかなり面白可笑しいが…)高揚感と満足感の笑い、感謝の笑いだ。考えてみればこのお店にいる間、片時も笑顔を絶やしていなかった。それはお店のスタッフの方々はもちろん、ゲストである僕たちもそうなのだ。お店が一体となっていてとても楽しい。

料理の味を二の次にさせてしまうチカラ

こういった仕掛けの他にも、このお店が心地よい理由がある。それはやはりスタッフの皆さん。笑顔での対応はもちろん、細やかな気配り、何気ない会話、決してわざとらしいわけではなくあくまでも自然なのだ。付かず離れず、時にはべったり、ゲストと一緒に笑い、喜び、楽しむ。それでいてしっかり見るべきところを見逃さない。だから、僕たちは安心してこのお店に滞在している時間をお任せできるのだろう。初めて訪れた普段は行かないような高級なレストラン。否が応でもゲスト側が些かの緊張感を持ってしまいそうなところを、のっけからアイスブレイクして、30分もいると常連のような気分にさせてくれる。

ついでに言っておくと、料理は抜群に美味しい。僕の舌は高級料理に合っているものではないが、その舌がこれはとてつもなく美味しいと叫んでいた。試したことのないような食材の組み合わせ、それはないんじゃないの?と思いながら口に運ぶと、びっくりするよなコラボレーションで驚かせてくれた。そんな最高の料理を“ついで”に紹介するほど、お店の演出のインパクトが大きかった。



先に出て来た、ナプキンやワインのボトルのようなアイテムでの演出は、真似をしようと思えば出来るかもしれない。しかしながら、このお店の方々がゲストを知るために行っていることは、半端なものではない。ウェブサイトにアクセスして、そこに書かれていることを隈なく調べ、どんな会社なのか、そこにどんな人たちがどんな想いで働いているのか、何を目指しているのかといったことを共有する。その上で、何をすればゲストが喜び、感動し、一緒に楽しめるかを徹底的に考えるのだろう。だからアイテム1つ取っても、こだわり方が半端じゃない。

モノを使ってはいるが、その真髄はコトであり、ゲストがお店で過ごす時間の価値を上げることに、全員が徹底的にこだわって注力している。この「想い」は一朝一夕に出来ることではないと思う。だからこそ、長年に渡って予約が取れないほどに愛されるお店なのだろう。美味しい料理や、笑顔での接客、安らぐ雰囲気といったものはCasitaでは基本中の基本で、その先にある時間的価値の提供とゲストへの愛を付加することがCasitaの真髄なのだろうと実感した。そして常にその付加価値の追究を怠らず、進化させているのだろう。

人生においてとても貴重な「時間」
ややもすると、食事の時間はとても勿体なく感じてしまいがちだが、昨日Casitaの皆さんと過ごした3時間は、仕事が充実する以上にとても豊かで価値のある時間であった。次に来たらどんな時間が待っているんだろう?仄かな光に照らされた都会の空を見ながら、ひとり妄想に耽っていた。この先の楽しみまで提供してくれたCasita青山店のみなさんに、感謝!

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