アマゾンが仕掛ける日本の出版流通の変革

出版流通に風穴をあけるアマゾン

アマゾンジャパンが31日、年内に「買い切り」方式を試験的に始めると発表した。「書籍の返品率を下げるため」と説明し、本の価格設定についても検討するという。買い切る書籍については出版社と協議して決定し、一定期間は出版社が設定した価格で販売するが、売れ残った場合は出版社と協議して値下げ販売などを検討するようだ。

本の流通は一般の商品の販売と異なり、委託販売制度を業界として採用している。 委託販売制度は、出版社が価格を決めて取次に卸し、取次が書店に卸す方式だ。書店が仕入れて売れ残った書籍を返本できる制度で、書店が発売元から預かった書籍を店頭で販売し、発売元に売れた分の売上代金と売れなかった書籍を戻すという仕組みで成り立っている。書店は返品できる代わりに、出版社や取次店側からの条件で販売する。この場合、書店や取次が仕入れた書籍は、買い切り商品ではなく、預かり(委託)商品である。販売元の出版社からすると、新刊配本した書籍や書店からの注文は、出品しただけで、実際に売れたわけではない。

書店で売れ残った書籍はいったん取次に戻され、取次は、他の書店との売り上げ状況を見ながら、書店からの注文に備え一旦ストックする。 その後、全体的に売れ行きが不調な書籍は、発売元である出版社に返本される。 売れた分の書籍の売上代金も取次に集められ、諸経費の差引かれた後出版社に入金される。そこから著者への印税が支払われるわけだ。

買い切りになると何が変わるのか?

お分かりの通り、現在の出版業界においては、取次を通さなければ書店に本を流通させことは事実上不可能である。書店との直接取引が出来ないわけではないが、この場合買い切りとなるため、受ける書店は皆無に等しいだろう(最近では個人の書店などが自ら買い切りで仕入れて販売しているケースも多いが)。取次に書籍を持ち込めば、誰でも流通してくれるかといえば、そんなことはない。いまのところ、取次と取引している、もっと言うと口座開設出来ている出版社の書籍だけが流通可能となり、取次と取り引きができる出版社は、売上や年間の刊行数などの実績がある会社に限られている。新しく出版を始めたので取り次いでもらえないか?と言っても、取引はほぼ不可能だ。

さて、今回のアマゾンが発表した「買い切り」方式は、出版社から書籍を直接購入し販売する方式だ。つまり取次を通さないということ。卸と小売をアマゾンが一手に担うことになる。これにより、出版社と書店との力関係が大きく変わることが予想される。さらに、本の値引きも進むだろう。返品率の高さや、書籍を返品する際にかかる物流費という、委託販売方式で問題になっていた点の解消も期待される。

多くの出版社は、委託販売方式による資金繰りをしているため、新刊を出し続ける自転車操業をしているわけだが、買い切り方式が広まっていくことで、危機的な状況に陥る可能性もあるだろう。様々な施策で日本の出版業界に旋風を巻き起こしてきたアマゾン。今回の買い切り方式も、現在の出版業界に大きな影響を与えるものになりそうだ。

 

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