電子書籍のサービスが終了 そのときデータはどうなるのか?

公開日: : 出版, 本の電子化, 電子書籍

マイクロソフトが電子書籍事業を廃止する方針を発表。この場合、データは消滅するそうです。また、大日本印刷子会社のトゥ・ディファクトが展開する、セルフパブリッシングの老舗「パブー」が、2019年9月30日をもってサービスを終了する旨を発表した。

マイクロソフトが電子書籍事業を廃止、本は消滅
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47823580

「パブー」終了 9年の歴史に幕
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1904/02/news070.html

さて、いずれの場合も気になるのは制作されたデータだ。サービスが終了したことで電子書籍のデータはどうなるのか?過去の記事から紹介したいと思う。

オンライン書店が終了後の問題

出版業界をよく知らない人でも、「取次」という言葉は聞いたことがあるかもしれない。出版社から出版された本を、本のカテゴリーや作風などを鑑みて、全国の書店へと配本をしている、まさに取り次いでいるのが「取次会社」の仕事だ。出版物取次においては、日本出版販売(日販)と共に2大大手と言われてるのが株式会社トーハン(以下トーハン)。トーハンは出版物流通・取次の分野で、コンピュータシステム・オンラインシステムを導入するなど、革新的なシステムを真っ先に取り入れ、業界の最先端を進んでいる会社である。
そのトーハンが、2012年2月にオープンしたのが、オンライン書店Digital e-hon。Digital e-honは、同社が2009年から運営していた医療従事者向け電子書籍販売サイト「Medical e-hon」を引き継いだ形で、医学書が充実していた。また、一般の雑誌や書籍、漫画などもDRM付きPDFで販売されていた。トーハンはこのDigital e-honを、2018年4月27日をもってサービス終了とすることを発表した。ただ、購入などのサービスは4月27日で終了するものの、すでに購入済みの本や雑誌などの電子書籍コンテンツは、2018年7月31日までダウンロードと閲覧することが可能とのこと。さらに、本や雑誌コンテンツを購入済みのユーザーには、購入時の税込価格累計額相当のDigital e-honポイントを進呈するということだ。Digital e-honポイントは、「全国書店ネットワークe-hon」のポイントおよび電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」のコインに、2018年7月31日まで交換が可能としている。
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以前からよく言われているが、電子書籍は所有することが出来ないため、もしオンライン書店がサービスを終了する場合、その書店で購入したコンテンツは、閲覧が出来なくなってしまうという問題がある。今回のDigital e-honのように、数ヶ月は閲覧が可能ということもあると思うが、サービスのサポートがなくなったり、アプリが利用できなくなったり、OSのアップデートによって動作が保証されなくなるということもある。電子書籍コンテンツを読める状況を維持するためには、OSアップデートを回避しなければならないという問題も出てくるのだ。しかし、せっかく購入したお気に入りの本が読めなくなってしまうのは、読者にとっては困った話である。サービスが終了して利用できなくなるので、購入金額に相当するポイントを返すというのも読者への配慮なのだろうが、ポイントをもらっても既存のダウンロードコンテンツが読めなくなってしまうことには変わりはない。

各種オンライン書店は読者目線の対応を

今後も、こういったオンライン書店のサービスが終了後する可能性はあるかと思う。その場合、書店側としては、サービス終了後もしばらく閲覧できる状態にするとか、別のアプリで閲覧が可能にするとか、PDFでダウンロードできるようにするなどの対応が必要になるだろう。また、サービス終了に伴うトラブルを回避する方法として、DRMフリーの電子書籍を利用することも考えられる。DRMはデジタルコンテンツの違法コピーを防ぐ技術のことだが、これを採用していないストアで購入した電子書籍コンテンツは、仮に購入元のサービスが終了も利用し続けることができる。
本を所有するということに重きを置いている人も多いのではないだろうか。そのために、気に入った本や残しておきたい本は、電子書籍ではなく紙で購入するということもよく耳にする。現在のペーパーレスの動きに伴い、本の電子化も少しずつ進んでいくだろう。現時点で読者としては、紙の本と電子書籍を目的によって買い分ける必要があるかもしれない。書店もアプリもバラバラ、各社が独自のDRMを設定している現状を、もう少し読者目線で変えていく必要があるのではないかと、個人的には考える。

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