新しい世界を前に書籍流通の仕組みを考えよう

公開日: : 電子出版, 電子書籍

電子書籍の無料開放が招く版権問題

日本各地で新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、自粛要請が出されていますね。僕が住む茨城県でも、昨日4/4に9市町村で外出自粛要請が出されました。防災無線で何回も放送があって、なおかつ雨模様のため、だいぶ外出する人も少なくなっているのではないかと思います。子どもたちの学校再開も5月まで延期され、みんな家にこもっている状況です。学習遅延なども懸念されていますが、この緊急時ですからやむを得ないと思う。オンラインや参考書を使って、なんとか学習環境の維持を図るしかないですね。

電子図書館や各種電子書籍ストアでは、作品の無料開放が広がっています。書籍だけでなく、漫画や絵本、雑誌など、無料読み放題の作品がどんどん増えており、一気に電子化の波が押し寄せて来そうな予感もするほどです。でも、自粛が解除された途端に元に戻ってしまうんだろうけど、、、。しかしながらこの状態がいつまで続くかわからない今、書店や出版業界の未来も先が見えない状況になっています。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せた後の世界を予測して動く必要がありますね。そんな状況の中、アメリカでは無料電子書籍貸し出しに著者団体が抗議するといったことが起こっています。

アメリカのサンフランシスコを拠点とするインターネット・アーカイブ(The Internet Archive)は、140万冊の電子書籍が読める「National Emergency Library」(国立緊急図書館)をオープンし、6月末までにユーザーが1人10冊まで借りて読むことができるようにしました。

書籍販売の仕組みに忍び寄る変革の波

インターネット・アーカイブは、世界中のウェブ情報を代表とするさまざまなデジタル情報をアーカイブしている非営利法人で、1996年にBrewster Kahle氏によって設立されました。インターネット・アーカイブは、デジタル形式で保存された歴史資料を、研究者や歴史学者ひいては全世界の人々が将来にわたって利用できるようインターネット上に図書館を作るために、デジタル情報を収集しています。保存しているデータ量は、2019年2月現在で40ペタバイト(約4万テラバイト以上。当初、インターネット・アーカイブはウェブ情報の保存に力を入れていましたが、現在は、電子書籍や動画、音源などの保存にも取り組んでいます。インターネット・アーカイブはOpen Libraryというプロジェクトの運営も行っていて、これまでに出版されたすべての書籍に関する情報を集めようとしています。Open Libraryでは、インターネット・アーカイブに保存されている児童書から学術書までの様々な電子書籍が利用できます。インターネットアーカイブに保存されていない場合も、WorldCatやオンライン書店へ遷移することが可能です。また、インターネット・アーカイブと図書館が協力して書籍のデジタル化も進めています。2011年9月には200万冊に達しました。

緊急図書館とはいえ、著書を勝手に無料公開されるということで、全米出版社協会(AAP)と全米作家協会(Authors Guild)が一方的に正当化された版権侵害だとして反対しています。著者の中で自分の作品を外してほしいという人もいて、その場合メールでも申し込めるようになっているようです。確かに、これまでの作品が一冊売れた際に、書店、取次(これは日本の場合)、出版社、著者で利益を分け合うシステムの場合、無料公開は由々しき問題です。日本国内の電子書籍ストアでも、緊急で無料開放していますが、利益配分や印税の問題を考えるとそう長く続けることは難しいだろうなと思うのです。

現在AmazonのKindleストアでは、電子書籍の読み放題サービス(Kindle Unlimited)が展開されていて、その利益配分は読まれたページ単位で決まってきます。原資はアマゾンが運営する基金によるもので、これまでの書籍販売の仕組みとはだいぶ異なっていますね。今は新型のウイルス拡大という緊急事態ですが、今後の社会や環境の変化、インターネット回線やデバイスの進化を考えると、書籍販売、書籍閲覧の仕組みが大きな変革期を迎えると予測されます。そもそも書籍は何のために存在し、何のために書くのか?そして誰のためのものなのか?その原点に立ち返って考えて、これからの仕組みづくりを行なっていきたいですね。

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