現代文化のルーツを探る⑧ 節分と豆まき
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現代文化のルーツ
令和三年、今年の節分は2月2日です。なんで2月2日なの?って思いませんでしたか?僕も思いました。
そもそも節分は四季を分ける節目のことで、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことをいいます。そして暦の上での節分は農作業の目安となる「雑節」の一つです。現代では2月3日だけが節分になっていますが、これは4つの季節の中で「立春」が最も重視されていたためなんです。春の訪れである立春は1年の始まりでもあり、特に待ち望まれていたんですね。
今生きている人の多くが、節分と言えば2月3日と答えますよね。それもそのはず、節分が3日じゃなくなるのは1984(昭和59)年2月4日以来37年ぶり、2日になるのは1897(明治30)年2月2日以来、なんと124年ぶりのことなんです。地球が太陽を1周する時間は365日ぴったりではなく6時間弱長いため、春分の日の基準となる「春分点の通過時刻」は年々遅くなっていきます。4年経つとその累計がほぼ1日になるため、うるう年を作ることで、季節と日付が大きくズレていかないようにしているんですね。1年ごとでは1太陽年365.2422日と1年365日の差(約6時間)ずつ遅くなる一方で、うるう年には4年前より少し早くなる、この流れによって立春の日がズレます。それで令和三年の今年は、2月2日が節分になっているんですね。
さて、節分といえば豆まきです。なぜ節分に豆をまくのでしょう?豆まきはいつから始まったの?
豆まきのルーツを探ってみましょう。
立春を1年のはじまりである新年と考えると、節分は大晦日にあたります。
平安時代の宮中では、この大晦日に陰陽師らによって旧年の厄や災難を祓い清める「追儺(ついな)」の行事が行われていました。
方相氏(ほうそうし)と呼ばれる鬼役が手下役の役人を引き連れて宮中をまわって、厄を払うというもの。方相氏とは鬼神(きじん)のことで、金色に光る目を四つもち、朱色の衣装を着て盾と矛を持つという、なんとも恐ろしい風貌をしていました。
当初は悪鬼(あっき)を祓う善神(ぜんじん)でしたが、9世紀ごろになると、その風貌もあってか逆に悪鬼と見なされるようになり、弓矢で追われるようになってしまいました。鬼は疫病の象徴で、疫病を弓矢で追い払うことで、病気の流行を封じ込めようとしたんですね。
豆をまくようになったのは、室町時代といわれています。もともと中国明時代の風習が日本に伝わったもので、年男が「鬼は外、福は内」と言いながら、炒った豆をまきます。なぜ豆をまくのかについては諸説ありますね。大豆は米や麦と同じくらい重要な穀物として扱われていて、魔除けや生命力に関する霊力が込められていると考えられていました。このことから、お祓いなどの行事などでは大豆がよく使用されていたという説があります。
また、豆は「魔を滅する」ということで、無病息災を祈る意味を持つとされています。その昔、京都の鞍馬に鬼が出たとき、毘沙門天のお告げによって大豆を鬼の目に投げつけたところ、鬼を退治できたという話が残っていて、「魔の目(魔目=まめ)」に豆を投げつけて「魔を滅する(魔滅=まめ)」ことが出来たといった説もあります。豆まきには炒った大豆を使いますが、これは生の豆を使うと、拾い忘れた豆から芽が出てしまうと縁起が悪いからと言われています。また、鬼は「木」「火」「土」「金」「水」の陰陽五行説の「金」にあたり、この「金」の作用を滅するといわれる「火」で大豆を炒ることで、鬼を封じ込めるという意味もあるといいます。
節分の豆まきは、厄を払い病気の流行を封じる大切な行事なんですね。
コロナ禍が続いてる今年の豆まきは特に重要ですよね。
今日は大晦日となる節分です。家族みんなで豆をまいて厄と疫病を祓い、気持ちも新たに新年を迎えましょう!
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