欲張らずに生きることが大切!おむすびころりんの教え
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昔話
おむすび ころりん こんころりん
ころりん ころりん すっとんとん♪
皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?日本の昔話「おむすびころりん」の中に出てくる歌の一節です。おむすびころりんは、リズムも楽しめる昔話で、幼児向けの絵本も出ていますが、実はとても大事な教訓が込められた作品なんですね。
では、早速あらすじを見ていきましょう。
おじいさんのワクワクが新しい出会いを生み出す
むかし、正直で働き者のおじいさんが、山で木を切っていました。昼になったので、おじいさんはおばあさんが作ってくれたお弁当のおむすびを食べようと、包みを開けます。そこで、うっかりおむすびを落としてしまいました。おむすびは、ころころと転がって、木の下の穴に入ってしまいます。
慌てておじいさんが、追いかけていくと、おむすびが落ちた穴の中から、何やら可愛らしい歌声が聞こえてきました。「おむすび ころりん こんころりん ころりん ころりん すっとんとん♪」。おじいさんはもう一度歌を聞こうと、もう一つのおむすびを穴の中に転がしてみました。するとまた、歌が聞こえてきます。おじいさんが夢中になって歌を聞いていると、おじいさんが穴の中に転がり落ちてしまいました。
落ちた所はネズミの屋敷で、おむすびをくれたおじいさんに感謝したネズミたちが、おじいさんを餅つき踊りで歓迎し、たくさんの御馳走を振る舞いました。そして帰りには、お土産として大きなつづらと小さなつづらを用意します。おじいさんは、大きいのは背負って帰れないので、小さなつづらをもらって帰りました。
欲張らないことが大切
家に帰ると、おじいさんの帰りが遅いので心配したおばあさんが迎えに出てきました。そこで、おじいさんが、ネズミの屋敷でのことを話して聞かせます。そして、二人でつづらを開けると、中から金銀財宝が出てきました。二人は顔を合わせてびっくり!その一部始終を見ていたのが隣の欲張り婆さん。早速家に戻ると、見てきたことを欲張り爺さんに伝えます。そして自分たちも真似してお宝を手に入れようと計画します。
あくる日、よくばり爺さんは、抱えきれないほどの沢山のおむすびを持って山に出かけます。穴を見つけた欲張り爺さんは、大量のおにぎりを穴に投げ込んで、自分も無理やり穴に飛び込こみました。ネズミの屋敷に着いた欲張り爺さんは、ネズミに餅つき踊りを披露されても相手にせず、お宝を強奪しようと猫の泣き真似をしてネズミたちを脅かします。
しかしその作戦は大失敗。猫が来た!と散り散りになって逃げるネズミたち。崩れ落ちるネズミ屋敷への穴を這い上がり、命からがら家に逃げ帰った欲張りじいさん。お宝を持って帰ってくると思ったじいさんが、ぼろぼろになって帰ってきたのを見て、欲張りじいさんとばあさんは、その後はあまり欲をかかなくなったというお話しです。
おむすびころりんの教訓
このお話の教訓は、欲張らずに生きると良いことがあり、欲張ってずるをしようとすると悪いことがあるということです。ネズミの屋敷で、お土産に小さいつづらを選んだおじいさんのように、慎ましい気持ちを持って、真面目に生きていればきっといいことが起こるこということを、示唆しています。真面目に、正直に生きようとするのは、とても日本人らしい考え方ですね。日本人が失ってはいけない心であり、世界に伝えていくべきものだと思います。
「おむすびころりん」は、古くからある口承文芸で、室町時代に『御伽草子』として成立したと考えられています。あらすじは「こぶとり爺さん」と同様で、無欲な老人と強欲な老人の対比で、因果応報など仏教的要素も併せ持ちます。ネズミが善人に福をもたらすという筋立てであり、ネズミは「根の国の住人」(根住み)とも考えられていて、米倉などにあるネズミの巣穴は黄泉の国、浄土への入り口と言い伝えられる地方もあるそうです。
日本の昔話って大切なことがいっぱい詰まっていますね。
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