子どもの発想力を育てるとんち話「一休さん」

公開日: : 昔話

日本の昔話には様々な形式がありますね。泣ける話もあれば、心温まる話も。そんな中でとにかく笑えて爽快な気分になるのが「とんち話」。とんち話は、封建的な身分社会の中で、地位も財産もない底辺の人間(奉公人、作男など)が、知恵を働かせて、殿様や名主、庄屋、そして町の衆をやりこめてしまったり、堂々と仕事をなまけたりする笑い話です。

主人公は、おろかな面と狡猾な面の両面を兼ね備えていて、抵抗の姿勢をつらぬいたり、なまけ者とか愚人とか言われながらも高度な技術を身につけていたりします。とんちとはちょっと違いますが、三年寝太郎もそういった人物ですね。とんち話の主人公には、しいたげられている人々の願望が託されています。

日本全国各地に存在したとんち者

これらの話は特定の地域と結びついて、実在の人物の話として、親しみをこめて語られています。
北海道の繁次郎(しげじろう)、山形県の佐兵(さひょう)、千葉県の重右衛門(じゅえむ)など、全国各地にとんち話の主人公が存在します。有名なところだと熊本県の彦一(ひこいち)や大分県の吉四六(きっちょむ)がいます。吉四六さんのお話は、学校の図書室などにもありますね。私も小学生の頃、よく図書室で吉四六さんの本を借りて読んでいました。

吉四六さん

とんちで有名なのは、なんといっても「一休話」です。
皆さんも一度は耳にしたことがある名前だと思います。私が小さい頃はテレビのアニメで一休さんが放映されていました。絵本にもなっているので、顔が思い浮かぶ人もいるでしょうね。

「一休話」は、とんち者の一休さんが繰り広げる笑い話です。一休さんがある橋の前に「このはしわたるべからず」と書いてある立て札を見て、平然と橋の真ん中を渡っていきます。街の人が「橋を渡ってはいけないと書いてある」と一休さんに言うと、「いいえ。私は立て札の言う通り、この端を歩かず真ん中を歩いたのです。」と返した話は有名ですね。日本の同音異義語をうまく使ったとんち話です。

一休さんの代表作品「屏風の虎」

私が一休話で好きなのは、「屏風の虎」というお話。
あらすじを紹介すると、、、

むかし一休さんという頭のいいお坊さんがいました。

彼のうわさを聞いて、殿様がちょっと試してやろうと、お城に呼び寄せました。

一休さんがお城に行くと、
殿様が「一つ相談があるんじゃが。」と言って、一休さんを大きな虎が描いてあるつい立の前に連れて行きました。

そこで、「実は毎晩この大きな虎がつい立から出てくるのじゃ。一休よ、そちに虎を捕まえてもらいたいのじゃ。」殿様が仕掛けてきます。

一休さんはちょっと考えてから、頭に手ぬぐいを巻いて言いました。

「お殿様、私に虎を捕まえる縄を下さい。」

一休さんは縄を持って、つい立の前で待ち構えます。

そして「お殿様、そこにいては危険です!つい立の後ろに回って虎を追い出してください。」と言いながら、殿様に向かってつい立の後ろを指差します。

殿様は、「何と申した?つい立から虎を追い出せと?」 と言って困惑します。

すると一休さんは、「そのとおりです!是非お願い致します。追い出してもらわなくては、虎を捕まえられません。」

それを聞いて、「うーーん、参った!」と殿様が負けを認めました。

というお話です。

仕掛けられた難題に対して、殿様を巻き込んで、殿様自らに嘘を認めさせるあたりは、さすが一休さんです。

一休さんにはモデルがいた?

こういった一休さんのお話は、実在の人物である一休宗純 (1394〜1481)をモデルにしたものなんですね。実在の一休宗純は、禅宗の僧で、京都の大徳寺の住職をつとめたりしています。後小松天皇の落とし子であったという伝承もあるんですね。物事にとらわれない自由な考え方を持って行動をした人物のようで、普通と違う言動やユニークな逸話がたくさん残されています。アニメに出てくる小僧の一休さんとは似ても似つかない風貌で、決してかわいいとは言えないですね、、、。

Wikipediaより 一休宗純

『一休咄』はそれらを集めた本の一つで、江戸時代には十数冊も出版されています。和尚さんと一休さんとの対立を描いたり、殿様などの権力者を一休さんがやりこめるお話を読んで、昔の人々も爽快な気分になっていたのでしょうね。

映画やTV、動画や漫画でも知恵を働かせてピンチを切り抜けたり、敵を倒すといった作品がたくさん出ています。絵本でもそういった作品が多く見られますね。戦う動画もいいですが、一休さんや吉四六さんなど、日本人が昔から語り継いできた「とんち話」を、今の子どもたちにも是非伝えていきたいですね。

 

関連記事

狼は大きな神?!古来日本人と狼の知られざる関係とは?

2021/10/12 |

皆さん狼ってどんなイメージを持っていますか?人や動物を襲う怖い動物というイメージが強いですかね。 ...

記事を読む

実は火の神の使いだった!?「ひょっとこ」の由来

2021/10/19 |

みなさん「ひょっとこ」をご存知ですか? ひょっとこは、口をすぼめて曲げたような表情の男性、あるいは...

記事を読む

命を狙われた侍!カギを握るのは...おはぎ?ー日本の民話ー

2021/11/16 |

立冬を過ぎたにもかかわらず、あたたかい日が続きますね。ここ数日は日中汗ばむくらいの陽気です。朝晩はだ...

記事を読む

人の欲が招く笑えない顛末

2021/11/13 |

若さを求めるのは世の常? 先日、もうすぐ3歳になる息子と、近くにある大きな公園に行きました。 日...

記事を読む

  • 企業メディア化真価道場
  • 住まいのQA
  • スマートブックス
  • 失敗しない家づくり読本

    失敗しない家づくり読本
    発売日 : 2021/3/27
    一般社団法人コミュニティービルダー協会 (著)
    ¥500 (電子版)

  • THE REAL RICH LIFE

    THE REAL RICH LIFE
    発売日 : 2021/1/29
    Hikaru Deguchi (著)
    ¥1,028 (電子版)
    ¥2,519 (ペーパーバック)

  • 天使との対話

    天使との対話
    発売日 : 2021/1/16
    中西 識叡子 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,452 (ペーパーバック)

  • Japanese Style
    発売日 : 2021/1/13
    Hironobu Ishikawa (著)
    ¥834 (電子版)
    ¥2,201 (ペーパーバック)

  • TSUNAGU モンゴル×日本
    発売日 :2020/3/15
    ガンフヤグ テンギスボルド(著)
    ¥500 (電子版)
    ¥990 (ペーパーバック)

  • 子供たちに伝えておきたい“日本のこと”
    発売日 : 2019/12/28
    飛岡健 (著)
    ¥528 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • SDGsに取り組もう 建築業界編
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥550 (電子版)
    ¥1,320 (ペーパーバック)

  • 頼みたくなる住宅営業になれる本
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • ビジネスに役立つ 日本の偉人の仕事術
    発売日 :2019/9/5
    オモイカネブックス(著)
    ¥864 (電子版)
    ¥1,782 (ペーパーバック)

  • と金志士 上巻
    発売日 : 2019/7/26
    オモイカネブックス(著)
    ¥540 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 大人のための科学的勉強法
    発売日 : 2019/7/18
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 不調リセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • たるみリセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • 食品異物対策
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • 技術・技能伝承法
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • ドクター福井の開成流勉強術
    発売日 : 2019/5/22
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 世界を解く数学
    発売日 : 2019/5/22
    河田直樹(著)
    ¥800 (電子版)

  • TSUNAGU スロベニア×日本
    発売日 : 2019/2/27
    ニーナ・ハビャン(著)
    ¥500 (電子版)

  • 春ちゃんのマシュマロタイム
    発売日 : 2019/2/19
    今井真理子(作)
    こばやしまりこ(絵)
    ¥800 (電子版)

  • 科学で考えるごみゼロの未来
    出版社 : 2018/9/15
    広瀬立成(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥815 (ペーパーバック)

  • とっておきの見込み客発掘法

    とっておきの見込み客発掘法
    出版社 : 2018/9/13
    石川博信 (著)
    ¥840 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 日本列島ダニさがし
    発売日 : 2018/5/13
    青木淳一(著)
    ¥600 (電子版)

  • KARADAチューニング
    発売日 : 2018/3/19
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,284 (ペーパーバック)

  • 障がい者アートの未来を探して
    発売日 : 2018/2/1
    熊本豊敏(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • 建築神殿論
    発売日: 2017/12/25
    武田暁明(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 (ペーパーバック)

  • 我は日本人なり
    発売日 : 2017/6/26
    竹元正美(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • おみず
    発売日 : 2017/4/1
    AKI (絵・作)
    ¥840 (電子版)

  • 国境を越えたサムライ先生
    発売日 : 2017/2/21
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 円(ペーパーバック)

  • 島嶼見聞録
    発売日: 2017/2/19
    木越祐紀子(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥1,320(ペーパーバック)

PAGE TOP ↑