意外すぎる顛末!巧妙な日本の「なぜ話」

公開日: : 昔話

我が家の息子が間もなく3歳になります。歩くのも走るのもしっかりしてきたし、指先も細かく動くようになってきました。保育園に行ったり、一緒に絵本を読んだり、動画を見ることでいろいろと言葉を覚えてきて、たまに驚くような言葉を発したりもします。このくらいの時期になると出てくるのが「なんで?」という言葉。

「なんで今日は保育園に行くの?」「なんでお外は晴れているの?」「なんでイチゴは甘いの?」と、まあなんで?なんで?のオンパレードです。質問に答えても、それに「なんで?」って畳み掛けてくるので、こちらも気が抜けませんね。お子さんがいる方は、きっと経験があると思います。皆さんはどうやって対応していましたか?

由来や起源を知る「なぜ話」

さて、日本の昔話には「なぜ話」というのがあります。

なぜ話はその名の通り、「なぜ〇〇は△△なのか?」という具合に、動物、植物の姿、形態、鳴き声などの起源や、行事の由来を語る話です。「くらげにはなぜ骨がないのか(くらげ骨なし)」「蛙はなぜ雨が降りそうだと鳴くのか(雨蛙不孝)」「そばの茎はなぜ赤いのか(瓜子姫、天道さんの金の鎖)」「五月の節句にはなぜ菖蒲湯につかるのか(食わず女房、蛇婿入り)」など、たくさんのなぜ話が存在します。もちろん、科学的根拠のあるものではありませんが、昔話の中で語られる起源や由来は、実にユニークで想像力に富んでいます。

そんななぜ話の中で、私がとても面白いと思っているのが「ふるやのもり」。
最初はこの世で一番恐ろしいものは何か?という話から、最後は猿の尻尾がなぜ短いのかという、なぜ話に展開していきます。顛末がまったくわからない実にユニークなお話です。

では、あらすじをご紹介しましょう。

猿の尻尾はなぜ短い?

むかしあるところに、貧乏なお爺さんとお婆さんがいて、馬を一頭飼っていました。
ある晩、お婆さんが、「山から狼が馬を食いにこないか心配だなあ。狼くらいこわいものはない」と言うと、お爺さんは、「おらあ、狼よりも『ふるやのもり』がおっかねえ」と言いました。

ちょうどその時、山から馬を食おうとやってきた狼が厩の隅に隠れていて、この話を聞いていました。狼は「ふるやのもり」はよほど恐ろしいものだろうと思いこみます。

この時、厩の屋根裏に、馬を盗みに入った泥棒もいました。泥棒もお爺さんの言葉を聞いて、狼と同じように「ふるやのもり」はどれだけ恐ろしいものなんだと想像していました。

まもなく雨がぽっぽつ降りだすと、「そろ『ふるやのもり』がやってくる」と言って、お爺さんとお婆さんが、鍋や釜をどたばたと準備し始めました。それを見た狼は、「ふるやのもり」に食われたら大変だ!と思って逃げ出そうとします。時を同じくして、馬泥棒も屋根裏から慌てて逃げ出そうとしました。その時、屋根裏から逃げ出そうとした馬泥棒が、足を滑らせて狼の上に落ちてしまいます。

背中に何かが落ちてきた狼は、「ふるやのもり」に捕まったと思い、慌ててふためきながら必死に逃げ出しました。
そして馬泥棒の方も、「ふるやのもり」に乗ってしまったと思い、振り落とされまいと狼の首に必死にしがみつきます。

暗い夜道を背中に馬泥棒を乗せて走る狼。そして、振り落とされないようにしがみつく馬泥棒。
徐々に夜が明けてきた時、馬泥棒は自分が狼に乗っているのに気がついて驚きます。馬泥棒は大木の近くを通った際に、必死で手を伸ばして枝に掴まり、狼の背中から逃れました。ほっとしたのも束の間、馬泥棒は木に空いていた大きな穴に落ちてしまいます。

一方、山へ逃げ帰った狼は、猿や狐などの仲間に「ふるやのもり」の話しをしました。それを聞いていた猿が、「そんなやつがいるわけない、自分が様子を見てきてやる」と言って出かけます。

猿は大木の穴の中から声がするのに気づきました。そこで、猿は自分の長い尻尾を穴の中に垂らしてみます。すると、中にいた馬泥棒が助かった!とばかりに猿の尻尾にしがみつきました。これに慌てた猿が、懸命に尻尾を引っ張ると、尻尾が根本からぷっつり切れてしまいました。猿の尻尾が短いのは、この時からなんです。

というお話です。猿の尻尾はだから短いんですね(笑)

子どもたちの「なんで?」には本当のことをきちんと教える必要がありますが、昔話の中に出てくるこういった「なぜ話」は、もしかしたら本当にそうなのかもしれない?という想像性を育むのに、とてもいい作品ではないかと思います。

昔話は、子どもに大切なことを教えるという、教訓的な要素を含んだものも多いですが、こういったなぜ話のような一緒に読んで笑える作品もたくさんあります。ぜひ、日本の昔話をお子さんと一緒に読んでみて下さいね。

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