今年の干支ってわかりますか?

公開日: : 最終更新日:2024/01/02 昔話

皆さん、明けましておめでとうございます。

今年の干支、つなわち十干十二支(じっかんじゅうにし)は「甲辰(きのえたつ)」。
「甲」は十干の最初で、物事の始まりの意味。十二支の「辰」は「昇り龍」などと呼ぶように、勢いよく活気にあふれた様子を意味します。
「甲辰」は「新しいことに挑戦して成功する」「これまで準備してきたことが形になる」というように、とても縁起の良い年になりそうですね。

十干十二支(じっかんじゅうにし)

さて、「干支」というと、みなさん12種類の動物を思い浮かべると思いますが、厳密にいうとこれは十二支で、干支とは違うんですね。
干支は、「十干(じっかん)」と「十二支」を組み合わせたものを言います。十干とはなんでしょうか?十干は次の10種類があります。

・甲(きのえ)  ・乙(きのと)

・丙(ひのえ)  ・丁(ひのと)

・戊(つちのえ) ・己(つちのと)

・庚(かのえ)  ・辛(かのと)

・壬(みずのえ) ・癸(みずのと)

2つ並んでいる最後の文字を見ると、きの『え』きの『と』、ひの『え』ひの『と』といったように、『えと』になっていますよね。「干支」を「えと」と読むのはここから来ているんです。これは陰陽思想に基づいていると言われていて「え=陽、」「と=陰」という意味があります。

厳密に言うと、干支とはこの十干と十二支を組み合わせた「十干十二支」のことを指します。

【十干】甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸

【十二支】子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

これを順に組み合わせていくと、甲子(きのえね)、乙丑(きのとうし)、丙寅(ひのえとら)、丁卯(ひのとう)となり、最後は癸亥(みずのとい)で、計60の干支になります。干支が60年で一巡し、生まれ年の干支に戻ることを「還暦」と言います。赤いちゃんちゃんこを贈ってお祝いするアレです。

読めますか?十二支の動物の名前

さて、十二支は12種類の動物の名前になっていますが、その漢字は今の読み方と全然違いますよね。
子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)
現在では「鼠・牛・虎・兎・竜・蛇・馬・羊・猿・鳥・犬・猪」ですよね?なぜ、こんな漢字が当てられているのでしょうか。

十二支は、今から1500年ほど前に中国から伝わったと言われています。昔の中国では、「年」を数えるとき、木星の動きをもとにしていました。木星は12年で太陽の周りを一周します。そこで、人々は毎年の木星の位置を示すために天を12に分けました。12に分けられた天に、中国で数を表す数詞である「子」から「亥」までの字をあてはめました。それが十二支の起源です。十二支は、もともと順序や方角を表す符号でした。農業を営む上で必要となった暦に当てはめて、それを字の読めない庶民に普及させるために、発音が近い動物に当てはめられたという説もあります。

十二支を民衆に浸透させるために、字が読めない人でも覚えやすく馴染みやすい、動物に替えて文献を書いたのが、古代中国の王充(おういつ)という人物です。王充によって十二支は民衆に広まっていきました。ということで、動物は後から便宜上あてはめられただけだったのですね。

その後十二支は日本にも伝わります。その頃十二支は、年だけでなく月や時間にもあてはめられ、広く使われるようになりました。怪談話などで、「丑三つ時」とか聞いたことがありませんか?夜中の2〜3時頃を十二支で表すとそうなります。実は今でも時間表記に十二支の面影は残っているんです。「午前」「午後」というのは「午の刻(うまのこく)」の「午」から来ています。午の刻は11時から13時を指していて、その前半は午前、後半は午後というようになったのです。干支は私たちの生活に昔から根付いているものだったんですね。

ネコが十二支に入れなかったワケ

最後に、十二支についての昔話を紹介したいと思います。タイトルは『十二支のはじまり』
その名の通り、十二支がなぜこの順番になったのかを伝えています。なぜ十二支にネコがいないのか?ネズミとネコの関係が悪化した理由はここにあった?

遠い昔、十二月の大晦日、神さまは動物たちに言いました。
「明日の元旦、私の所に挨拶に来なさい。来たもの順に、十二匹に一年をあげよう。」

ネコは、神さまの所に行く日を聞き逃したので、ネズミに聞きました。ところが、 ネズミは一月二日だと答えました。

ウシは歩くのが遅いのですぐに出発しました。それを見たネズミはウシの背中に飛び乗りました。

元旦朝早く、ウシは神さまの住む宮殿に着きました。
門が開くや否や、ネズミはウシの背中から前に飛び降りると、真っ先に神さまの所へ走りました。

神様は嬉しそうに言いました。
「ネズミや。お前が一番じゃ。一年目をあげよう。」
「ウシや。お前は二番じゃ。二年目をあげよう。」

他の動物も次々と神様のところに到着します。
「トラや。お前は三番じゃ。三年目をあげよう。」
「ウサギや。お前は四番じゃ。四年目をあげよう。」
「タツや。お前は五番じゃ。五年目をあげよう。」

「ヘビや。お前は六番じゃ。六年目をあげよう。」
「ウマや。お前は七番じゃ。七年目をあげよう。」
「ヒツジや。お前は八番じゃ。八年目をあげよう。」

「サルや。お前は九番じゃ。九年目をあげよう。」
「ニワトリや。お前は十番じゃ。十年目をあげよう。」

「イヌや。お前は十一番じゃ。十一年目をあげよう。」
「イノシシや。お前は十二番じゃ。十二年目をあげよう。」

次の日、ネコは神さまの所へ行きました。
「私が一番かしら?」嬉しそうに神様を訪ねたネコでしたが、
「もう遅い、年を与えると言ったのは、昨日じゃ」と言われてしまいました。

ネズミに騙されたと気づ きました。ネコはかんかんに怒りました。
それからというもの、ネコはネズミを見ると狂ったように追いかけるのです。

関連記事

かさじぞうに登場する六体のお地蔵様の意味とは?

2021/08/10 |

大晦日、雨や雪で濡れている道端のお地蔵様に笠をかぶせた善行により,おじいさんが福運を授かるという話。...

記事を読む

ほんとは怖いカチカチ山

2023/05/27 |

バリエーション豊富な昔話 むかしあるところに、年老いた夫婦が仲良く暮らしていました。 ある日...

記事を読む

リトアニア民話絵本「パンのかけらとちいさなあくま」の教訓

2022/07/29 |

今からちょうど2年前の2020年7月28日、ポーランド、リトアニア、ウクライナの三国が、ウクライナの...

記事を読む

命を狙われた侍!カギを握るのは...おはぎ?ー日本の民話ー

2021/11/16 |

立冬を過ぎたにもかかわらず、あたたかい日が続きますね。ここ数日は日中汗ばむくらいの陽気です。朝晩はだ...

記事を読む

  • 企業メディア化真価道場
  • 日本の昔ばなし名作シリーズ1

    日本の昔ばなし名作シリーズ1
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 日本の昔ばなし名作シリーズ2

    日本の昔ばなし名作シリーズ2
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 日本の昔ばなし名作シリーズ3

    日本の昔ばなし名作シリーズ3
    発売日 : 2021/12/19
    オモイカネブックス
    ¥1,250 (電子版)
    ¥2,178 (ペーパーバック)

  • 失敗しない家づくり読本

    失敗しない家づくり読本
    発売日 : 2021/3/27
    一般社団法人コミュニティービルダー協会 (著)
    ¥500 (電子版)

  • THE REAL RICH LIFE

    THE REAL RICH LIFE
    発売日 : 2021/1/29
    Hikaru Deguchi (著)
    ¥1,028 (電子版)
    ¥2,519 (ペーパーバック)

  • 天使との対話

    天使との対話
    発売日 : 2021/1/16
    中西 識叡子 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,452 (ペーパーバック)

  • Japanese Style
    発売日 : 2021/1/13
    Hironobu Ishikawa (著)
    ¥834 (電子版)
    ¥2,201 (ペーパーバック)

  • TSUNAGU モンゴル×日本
    発売日 :2020/3/15
    ガンフヤグ テンギスボルド(著)
    ¥500 (電子版)
    ¥990 (ペーパーバック)

  • 子供たちに伝えておきたい“日本のこと”
    発売日 : 2019/12/28
    飛岡健 (著)
    ¥528 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • SDGsに取り組もう 建築業界編
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥550 (電子版)
    ¥1,320 (ペーパーバック)

  • 頼みたくなる住宅営業になれる本
    発売日 : 2019/12/25
    浄法寺 亘 (著)
    ¥800 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • ビジネスに役立つ 日本の偉人の仕事術
    発売日 :2019/9/5
    オモイカネブックス(著)
    ¥864 (電子版)
    ¥1,782 (ペーパーバック)

  • と金志士 上巻
    発売日 : 2019/7/26
    オモイカネブックス(著)
    ¥540 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 大人のための科学的勉強法
    発売日 : 2019/7/18
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 不調リセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • たるみリセット
    発売日 : 2019/6/10
    竹井仁(著)
    ¥1,058 (電子版)

  • 食品異物対策
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • 技術・技能伝承法
    発売日 : 2019/6/4
    中村茂弘(著)
    ¥500 (電子版)

  • ドクター福井の開成流勉強術
    発売日 : 2019/5/22
    福井一成(著)
    ¥700 (電子版)

  • 世界を解く数学
    発売日 : 2019/5/22
    河田直樹(著)
    ¥800 (電子版)

  • TSUNAGU スロベニア×日本
    発売日 : 2019/2/27
    ニーナ・ハビャン(著)
    ¥500 (電子版)

  • 春ちゃんのマシュマロタイム
    発売日 : 2019/2/19
    今井真理子(作)
    こばやしまりこ(絵)
    ¥800 (電子版)

  • 科学で考えるごみゼロの未来
    出版社 : 2018/9/15
    広瀬立成(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥815 (ペーパーバック)

  • とっておきの見込み客発掘法

    とっておきの見込み客発掘法
    出版社 : 2018/9/13
    石川博信 (著)
    ¥840 (電子版)
    ¥1,430 (ペーパーバック)

  • 日本列島ダニさがし
    発売日 : 2018/5/13
    青木淳一(著)
    ¥600 (電子版)

  • KARADAチューニング
    発売日 : 2018/3/19
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,284 (ペーパーバック)

  • 障がい者アートの未来を探して
    発売日 : 2018/2/1
    熊本豊敏(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • 建築神殿論
    発売日: 2017/12/25
    武田暁明(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 (ペーパーバック)

  • 我は日本人なり
    発売日 : 2017/6/26
    竹元正美(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,078 (ペーパーバック)

  • おみず
    発売日 : 2017/4/1
    AKI (絵・作)
    ¥840 (電子版)

  • 国境を越えたサムライ先生
    発売日 : 2017/2/21
    外薗明博(著)
    ¥600 (電子版)
    ¥1,386 円(ペーパーバック)

  • 島嶼見聞録
    発売日: 2017/2/19
    木越祐紀子(著)
    ¥480 (電子版)
    ¥1,320(ペーパーバック)

Translate »
PAGE TOP ↑