知恵と工夫で困難を解決!『ダイダラボッチ』
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最終更新日:2024/08/24
昔話
皆さん、「進撃の巨人」はご存知ですか?
突如として出現した謎の存在「巨人」により、絶滅の危機に立たされた人類と巨人との戦いを描いたバトル漫画です。
物語自体はいわゆる「ダークファンタジー」に分類され、閉塞感と絶望感に彩られた世界観をシリアス、かつシビアに描く。少年漫画やバトル漫画の「熱さ」「お約束」を残しながら、そこを僅かかつ絶妙に外したミステリー要素を散りばめる新人離れしたストーリー・テリングの腕や、シュールなギャグを唐突かつ違和感なく挟み込む懐の深さもあり、単行本発刊後から口コミで話題を集め始めた作品です。
古の時代から伝説化している巨人たち
巨人との戦いというのは、いつの時代も物語になるもので、日本の昔話の中にも巨人のお話があります。
「ダイダラボッチ」って聞いたことがありますか?「でいだらぼっち」「ダイランボウ」「だいだらぼう」「でいらんぼう」「だいらぼう」など、日本各地で様々な呼び方をされています。ダイダラボッチは、日本の各地で伝承される巨人です。山や湖沼を作ったという伝承が多く、元々は国づくりの神に対する巨人信仰がダイダラボッチ伝承を生んだと考えられているんです。
たとえば、ダイダラボッチが近江の国(現在の滋賀県)の善積郡の地を掘った跡が琵琶湖で、 東に三歩半進んでその掘った土を捨てた跡が富士山になったという伝承もあります。また相模野の大沼という沼は、大昔にダイダラボッチが富士山を背負って歩こうとしたときの、足跡のくぼみだとも伝えらています。すごいですね、ダイダラボッチ!
さらに、東京都世田谷区に「代田」という地域があります。ここはダイダラボッチにちなんだ地名で、代田橋はダイダラボッチが架けた橋で、付近にあったくぼ地はその足跡だと言われています。このようにダイダラボッチの伝承には、その足跡が沼やくぼ地になったというものがとても多く見られるんです。 地名の由来に、ダイダラボッチが関わっていることも少なくありません。埼玉県の秩父地方では、デイダボウという大きな人が、 かぶっていた菅笠をとってかぶせたのが笠山、粥を煮たところが粥新田峠、その釜を伏せたのが釜伏峠、粥を食べた箸を立てたのが、二本木峠になったと伝えられています。
日本の民話で語られるダイダラボッチとは?
昔話として語られる、ダイダラボッチのあらすじをちょっと紹介します。
ダイダラボッチは、志摩半島の村の沖合にある大王島に住んでいる、一つ目の大男です。
ダイダラボッチは力の強い大男で、村の漁師たちが捕った魚を船ごと持って行ったり、米も俵ごと強奪していきました。困った漁師たちは、網元の家で対策を相談していると、一人の頭のいい子供が名案を思いつきます。
どんな名案かというと、ダイダラボッチより大きな「千人力の大男」というのをでっち上げて、ダイダラボッチを怖がらせて追い払おうという作戦でした。まあ、自分より大きくて強いものを見たことがないでしょうからね、これはいい作戦かもしれませんね。
さて、何も知らないダイダラボッチは、食べ物を探しにまた村にやって来ました。そこで、大きなカゴと大きな魚のえさ袋を見つけるのです。これは何だ?とダイダラボッチが聞くと、「このカゴは千人力の大男が使うタバコ入れで、えさ袋は千人力の男が着る着物だ」と漁師の一人が説明しました。
さらに、片方だけの巨大なワラジをダイダラボッチが見つけます。これは何だ?とダイダラボッチが尋ねると、「これは千人力の男が置き忘れていったワラジだ」と漁師の一人が答えました。「こんな大男がいるのか?!」と恐怖に震えたダイダラボッチは、大急ぎで大王島へ逃げ帰っていきました。その後は、もう二度と村にはやってこなかったというお話しです。
子どもの知恵にうっかり騙されて帰っていくあたり、日本の昔話のコミカルさとあたたかさを感じますね。
日本全国に広がる巨人伝説
巨人伝説は、ダイダラボッチだけでなく、四国の孫太郎、九州の大人弥五郎(おおひとやごろう)、味噌五郎(みそごろう)など、ほぼ全国的に分布していて、百合若大臣(ゆりわかだいじん)や弁慶も巨人として伝説になっていますね。
また、『播磨国風土記』や『常陸国風土記』、あるいは沖縄の神話の中でも巨人の存在が書かれています。
なぜこんなにも巨人伝説が存在するのか?柳田国男の「ダイダラ坊の足跡」では、このように説いています。
「偉大な仕事を成し遂げた者は、偉大な体格の持ち主でなければならないという信仰が、古来日本人の中にあり、そのためにこうした巨人伝説が各地に残っている」古くから日本の伝説には巨人が欠かせない存在なんですね。皆さんの住んでいる地域では、ダイダラボッチのような巨人のお話はありますか?
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