想いは発することで色が付く
AKIという画家を知っていますか?
国内外の多くの評論家から「観る人を試す」「絶妙な色彩センス(AKI色)」など、数多くの称賛を受けている29歳の青年です。スペイン国立「バルセロナ海洋博物館」にて「マザーフォレスト」を発表し金賞を受賞、日本・ギリシャ修好110周年記念展覧会で「歴史」を発表し「特別審査委員賞」を受賞するなど、数々の賞を受賞している注目の画家です。
彼は、4歳で知的障がいの診断を受けました。しかしながら、「一度見た動物のかたちは忘れない」「驚くような色使いをする」「下書きを一切しない」など、幼少期から類稀な絵の才能を発揮して、13歳の時に、父昭さんの支えを受けて、画家として生きていく道を歩みはじめたのです。
ボクがAKIさんに出会ったのは、一般社団法人エシカル協会主催のイベントでのこと。その日彼は、イベント参加者の顔を見て、頭に浮かんだ動物を描くというパフォーマンスを披露していました。最初は「面白い人がいるんだな」くらいの感じで見ていました。そしていざ自分が描いてもらう段になり彼と対峙した時に、不思議な感覚に襲われるのです。じっとボクの目を見つめる眼差しが、どこか自分から外れていて、違った点を見つめている気がするんです。顔形を見ているというより、なんかもっと奥深いところを見ている、いや見られているような気がして、ちょっと気恥ずかしいような、怖いような感覚になったのを覚えています。
そして数秒見つめたのち、一気に筆を走らせものの数十秒で描き上げられたのがプレーリードッグでした。「プレーリードッグってどんな動物だっけ?」そんなことを頭の片隅で思いながらも、このAKIという画家への興味が強く強く湧き上がっていきました。
その後程なくして、二度目のイベントで再会することとなり、その時は父親である昭氏とAKIさんのことを色々お話させてもらいました。知的障がいのこと、基本的に動物しか描かないこと、DSでよくゲームをしていること、車の中ではほとんど寝ていること、絵本を出版していたこと、そして彼の「想い」について。彼が何も見ず下書きなしに絵を描けるのは、彼の中に強い「想い」があって、それに突き動かされるようにキャンバスに表現しているからなんです。
その日のイベントの最後に彼が言いました。
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