著作権の相続、その時どうする?

公開日: : 本の電子化, 著作権, 著者, 電子書籍

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フランツカフカの『城』を読みました。

主人公である測量士のKが、ある村に到着するところから物語は始まります。仕事の依頼を受けてやってきたKですが、城や役所の仕組みがとても複雑で、ちゃんとした意志の疎通が取れず、なかなか城に到達することができない。不条理作家カフカの真骨頂。読み進めると面白いけどなんとなくざわざわします、、、。短編『変身』が有名なカフカですが、こちらの作品もおすすめです。

こういった作品が電子書籍を使って簡単に、それも無料で読めるというのは嬉しいですね。これは青空文庫が出しているものです。青空文庫のみなさんには、ほんとお世話になっています。青空文庫は著作権が切れた作品をデータ化して、web上で公開されたり、電子書籍にしています。本当にたくさんの作品が発信されていますね。

著作権の種類

著作権は、著作権法において「思想または感情を創作的に表現したものの内、文学・学術・美術・音楽の範囲に属する」著作物に対して発生する知的財産権、と定義されています。自分の考えや気持ちを作品として表現したものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、著作者に対して法律によって与えられる権利のことを「著作権」と言います。

本を出版すると、その本が著作物となり、その本を書いた著者に著作権が設定されます。これは紙の本でも、電子書籍でも一緒。そして著作権は、「著作者人格権」と「著作権(財産権)」の2種類に分かれます。
著作者人格権というのは、著作者が制作した著作物に関わる人格的な利益を保護することを目的とする権利の総称。小説・映画・音楽などを代表する著作物には、著作者の考えや主張が強く反映されているため、第三者が著作物を誤ったかたちで利用することを防止するために、著作者人格権が設けられています。著作者人格権は「一身専属権」といって、著作者のみが所持する権利で、譲渡や相続が不可能となっています。そのため、著作者が亡くなると一定の範囲を除いて、権利が消滅します。

それに対して、財産権は特許権などと同様の知的財産権のひとつで、著作物の全てまたはその一部を譲渡や相続することが可能です。財産権の譲渡、相続を行った場合、著作権の権利者は、著作者本人から著作権を新しく取得した人となります。

著作権の存続期間は何年?

著作権には存続期間(原則的保護期間)が設けられています。その存続期間は、著作者が著作物を創作してから著作者の死後50年間までです著作者が変名・無名または団体名義の場合は公表後50年間が存続期間となります。

著作物の種類と保護期間は以下のようになります。

■実名(周知の変名を含む)の著作物 … 死後50年
■無名・変名の著作物 … 公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、そのときまで)
■団体名義の著作物 … 公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ、創作後50年)
■映画の著作物 … 公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ、創作後70年)

日本以外の国で保護期間が死後50年の国は、カナダ、ニュージーランド、中国などがありますね。ちなみにその他の国ですと、

メキシコ 死後100年
コロンビア 死後80年
アメリカ合衆国、EU加盟国(イギリス、イタリア、オランダ、ドイツ、フランスほか、全27か国)、トルコ、ブラジル、ロシア、韓国など 死後70年
インド 死後60年
イラン 死後30年
となっています。

書籍に関して言えば、基本的には著作者の没後50年が経過しないと、第三者が利用することはできないわけです。

著作権はどのように相続すればいいのか?

著作権は申請をせずとも、創作した時点で付与されるもので、被相続人が亡くなると相続財産となり、相続することが可能になります。相続は原則的に、被相続人の相続財産に属した全ての権利と義務を承継しますが、被相続人の「一身に専属したもの」は相続の対象にならないとされています。「一身に専属したもの」とは、この場合前述した「著作者人格権」がそれにあたり、相続の対象となりません。対象となるのは「著作権(財産権)」のみです。

では、「著作権(財産権)」を相続する場合に何か手続きが必要かというと、特に著作権の移転手続きの必要はなく、相続人の間で話し合いを行い、合意の上で相続する人を決めます。この時、口約束だけで相続を行うことで、権利問題でトラブルが発生する可能性があります。さらに、50年の間にはさらに承継されていくことも考えられます。そこで、遺産分割協議書を作成し、書面として著作権(財産権)の相続の内容を記録しておくことがオススメです。

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財産としての著作物、置き場所をどうするの?

相続により権利関係が明確になった著作物ですが、一冊か二冊なら原稿も含めて自宅の納戸などに収納しておくことが可能かもしれません。しかしながら、被相続人が大量の著作物を創作していた場合、原稿や参考資料などを含めると、大量の紙書類が発生します。これらの書類は出版社が預かってくれるといったことはありませんから、すべて相続人の元に残りますね。書籍として流通し、手元に底本があれば、棄ててしまうことも考えられますが、そこには著作者の想いや、思い出も詰まっていますからね、廃棄してしまうのは躊躇われるのではないでしょうか。

底本は紙ですからいずれ劣化します。貴重な財産である著作物を劣化によって失うことのないよう、電子化して残すことをオススメします。電子化しておくことで、紙の書籍にすることは簡単にできますからね。また、原稿や参考資料なども合わせて電子化して、残しておいてはどうでしょう。相続したはいいけど、保管はどうすればいいの、、、とお悩みの場合は、一度電子化を考えてみるといいかもしれませんね。

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