強みを生かして個別化をした印刷会社

公開日: : 最終更新日:2018/09/26 エシカル, サステイナブル, 印刷

日本初フェアトレードの紙

バナナペーパーという紙がある。
バナナの香りはしないが、原料はバナナだ。バナナと言っても、あの黄色い皮や中身の果肉を使っているわけではない。バナナの木、厳密には茎の部分を使うのだ。バナナの茎には繊維質が豊富で、茎の水分を抜いて繊維を抽出し乾燥させる。乾燥した繊維を日本の越前和紙と合わせて、紙に仕上げたものがバナナペーパーだ。

One Planet Cafe ウェブサイトより

バナナの茎は一度実がなるとそれで終わりで、一旦根元から伐採しないと次の実はならない。伐採すると約1年で成長し、また実をつける。その繰り返しだ。伐採された茎がどうなるかというと、ゴミとして放置される。何も使い道がなかったバナナの茎は、伐採後積み重ねられたままになる。

東アフリカの国ザンビア共和国にある、サウス・ルアングア国立公園付近の村で、バナナの茎が大量に積み重ねられたまま放置され、素晴らしい景観を汚していることに心を痛めた人物がいた。それがOne Planet CafeのPeo Ekberg氏だ。長年に渡り環境ジャーナリストとして活躍していたEkberg氏は、サファリツアーに行った際に出会ったこの状況を何とか出来ないものかと、現地のガイドの方と相談し、このゴミとなってしまっているバナナの茎から紙を作り出すことを考える。繊維が豊富な上、成長のスピードは木の約30倍。バナナの茎で紙を作ることができれば、ゴミを資源に変えることができる。

One Planet Cafe ウェブサイトより

世界で消費される紙の量は、毎日100万トン以上。 その約90%が「木」を原料としている。日本人一人当たりの紙の使用量は約200kg/年。世界の経済発展に伴い紙の消費量が増加する一方、木の再生が追いつかず、世界では毎年日本の面積の約3分の1にあたる広さの森が失くなっているという。 バナナペーパーは、そういった世界が抱える課題を解決できるポテンシャルを持っている。

さらにこの紙づくりの仕事をしているのは、貧困層の女性・男性であり、メンバーの多くはこれまで長期的な仕事に就いたことがない。これまでは家族を支えるため、違法の森林伐採や密猟者になってしまうこともあった。そこでOne Planet Cafeが現地に工場を建設し、彼らを雇用し、フェアトレードの仕事として、2011年バナナペーパープロジェクトをスタートした。時を経て2016年には、紙業界では日本初となるフェアトレード認証 (WFTO 世界フェアトレード機関)を取得している。

さらに詳しい内容は、One Planet Cafeのウェブサイトをみてもらいたい。
http://oneplanetcafe.com/paper/

強みを生かして個別化した印刷会社

このバナナペーパープロジェクトは、ザンビアと日本が一緒になって進めているものだ。日本にはPeo Ekberg氏の想いに賛同し、協議会としてともにバナナペーパーを推進するメンバーがいる。その一人が、東京は荒川区南千住にある印刷会社「カワセ印刷株式会社」の川瀬健二社長だ。川瀬社長は、バナナペーパープロジェクトにおいて主に制作側を担っており、様々なバナナペーパーを使った印刷を行っている。その主たるものが名刺で、「2,000人規模の会社が名刺をバナナペーパーにすることで、村の人々が1年間食べていけるだけの収入を得ることができる」と言われている。そんな名刺はもちろん、封筒や冊子、クラフトペーパーなど、あらゆるバナナペーパー製品を、その技術で世に出し続けている。

カワセ印刷株式会社 川瀬社長(写真右)

それだけではない。実はカワセ印刷株式会社が得意とするのは「薄紙印刷」で、よく目や耳にする最大手の印刷会社でも出来ないような薄紙印刷をやってのける。例えば領収書や契約約款の複写の紙などだ。きっとあなたの会社でも一度は使っているであろうネット通販大手の注文を、一手に引き受けているのがカワセ印刷株式会社なのだ。

印刷業界は出版業界と並んで非常に厳しい状況にある。
その中で、薄紙印刷というカテゴリーを極め、甘んじることなくその技術高めることで、顧客からの信頼を得ているのは素晴らしいことだと思う。さらに格安のネット印刷が隆盛な時代に、顧客との対話を大切にして、じっくりと満足のいくものを一緒に作るという姿勢を崩すことをしない。お話を伺って、実にホスピタリティに長けた会社であり、熱い想いを持った社長さんだと実感した。だからこそ、ザンビアの女性たちの雇用を促進し、子どもたちが学校に行けるようにするとともに、世界の森林問題を解決に導くことが出来るであろうバナナペーパープロジェクトにも賛同し、製品を作り続けているのだろう。

カワセ印刷株式会社のウェブサイトにアクセスすると、メインビルボードの部分に「ていねいに寄り添う」と言葉が映し出される。まさにこの言葉がぴったりの社長さんだ。印刷のことで困ったら、是非川瀬社長に相談してみて欲しい。きっと丁寧に丁寧に寄り添って考えてくれるだろう。

 

カワセ印刷株式会社
https://kawase-p.co.jp

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