新・日本の伝統を世界へ

公開日: : 最終更新日:2017/11/03 ジャパンプロダクツ, 電子書籍

うちの祖父母は、戦後大阪から引き上げてきて、今僕たちが住んでいる土地を開墾しました。

そのおかげで今の僕たちの生活があるわけですが、当時は本当に苦労したと思います。生前祖父母が口癖のように語っていたのは、血の滲むような苦労話でした。当然その頃のことを知らない僕は、まるで人ごとのようにその話を聞き流し、内心うんざりしていたのです。「何でも出来るようになれ」というのが祖父母の口癖でした。「そんなに何でもできるわけないじゃん」その時も僕は、祖父母の言葉を上の空で聞いていました。

今考えるとその時の「何でも」は、生きるため、暮らすための手段であり、身の回りにあるもので生活をまかなっていけるようにという意味だったのかな?って思っています。

 

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祖父は僕が小学生の頃、よく草鞋を編んでいました。稲を脱穀した後、おだ掛けして乾燥した稲藁を使って、瞬く間に草鞋を仕上げていきます。今はもちろん、当時も草鞋を履く機会なんてそうそうなかったけど、地元のお祭りの時に必要で、自治会から頼まれて子どもたち20人ぶんくらいを編んでいたのです。編み方も上手でしっかりしていて、みんなから絶賛されていました。そんな祖父を自慢に思った記憶が蘇ります。

そういえば、毎年お正月に神棚や氏神様に飾るしめ縄も編んでいたっけ。桐の木から米びつを造ったり、杉の木でわっぱを組んだり、松竹梅で門松も作ってたな。本当に何でもできる人でした。

 

昔の人、そう、戦前の時代を生きた人たちの多くは、木や石や紙を使って、何でも自分たちの手で作り、暮らしの中に取り入れていました。それが戦後高度経済成長によって、技術が目覚ましい進歩を遂げ、工業化、自動化の並みに押されて、手仕事は徐々に姿を消し、その担い手も高齢化や世代交代によって、いなくなっていきました。そうなることで、いつしか手仕事は伝統技術や、伝統工芸品と呼ばれ、ある意味特殊なものになっていきました。

 

今日僕はカタログ電子化の営業のため、東京ビックサイトに赴いていました。実は、食品関連の工業機会展に行き、日本の最先端技術を紹介するカタログを電子化・多言語化して、世界に発信するという主旨で、話をしようと考えていました。でも、入り口で目に入ったのは、「インテリアライフスタイル」の文字。元々、インテリアは好きだし、面白そうだなと思ったけど、もっと惹かれたのは、「ジャパンスタイル」「日本の伝統品」という言葉。これぞまさしく「ジャパンコンテンツを世界に」じゃないかと思い、急遽変更して、ジャパンスタイルエリアに走りました。

 

そこには、全国各地の手工芸品が並び、文字通り伝統的なものから、モダンデザインとコラボレーションしたものまで、様々な趣向で展示されていました。例えば、てびねりで作られたカーゼのような手触りの有田焼や、蚊帳の素材でできたフキンやハンカチ、ふすま素材のブックカバー、パステルカラーの漆スプーン、美濃和紙のクラッチバッグ、曲げわっぱの技術で作られたティーカップなどなど、伝統的な技術に少しアレンジを効かせた、実に面白い製品の数々がありました。

 

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日本の伝統的な技術や工芸品が、新しい素材やデザイナーさんの感性と出会うことで、まったく新しい世界観を生み出すのがとても面白い。これまであまり若い世代から関心を持たれなかった製品も、「かわいい」「おしゃれ」と絶賛されていました。物自体はとてもいいので、そこにアイデアやデザインが乗ることで、ターゲットも売り先も拡大しますね。

 

 

今回の展示会では、自治体や、社団法人、財団法人、企業が主体となって、作り手のネットーワークを作り、商品紹介のステージを生み出しているというのを、たくさん見かけましたね。そうすることで、個々人では商品紹介や発信ができない作り手や製品を、紹介することが出来ます。

そういった組織に僕が話したのは、みなさんと一緒に作り手と製品を海外へも発信しましょうということ。展示会は物を手に取るという意味でとてもいい機会ですが、もっと広く広めるにはウェブの力は必須であり、なおかつただのECサイトなどではなく、作り手や製品ストーリーを表現した本を発信していくのが一番じゃないかと思ったのです。今日見た製品の数々は、和の風合いを残しながらも、海外のライフスタイルにもマッチできる実力を持っていると思います。

 

日本の伝統技術や製品に、新たな形で魂を吹き込むことで、日本のものづくりや地域産業の再生に繋げていきたい!きらびやかに展示された、おしゃれな工芸品を愛でながら、祖父の「何でもできるようになれ」という言葉を思い出し、そんな想いにかられました。さあ、どうすれば出来るかを考えよう。

 

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