電子絵本が繋ぐ世界の笑顔

公開日: : 児童書, 出版, 本の電子化, 絵本, 電子書籍

電子書籍で世界に向けて本を出そう

“きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う〜♪”
シンガーソングライター高橋優の楽曲『福笑い』のサビの一節だ。たしかに笑顔があれば、英語を話さなくてもなんとかコミュニケーションできるかも?

「英語を使えるようにした方がいいよ」「英語ができれば世界が広がるよ」40歳を越えてから付き合う人たちや、縁をいただく人たちが随分と変わってきて、色々な人から英語についてのアドバイスを頂く。たしかに英語が話せるだけで、繋がれる人や国が一気に拡大する。46歳から英語をマスターし、今や各国大使との対談や翻訳も軽々とこなす御仁もいらっしゃる。自分も46歳までに!と思いながらも、なかなか進んでいないのが実情だ。メインの仕事である電子書籍出版でも、翻訳・多言語化が絶対的に必要となってきている。もちろん、そこはプロやセミプロにお願いすれば済むことだが、少なからず自分も話すことくらいはやりたいと思っている。

この本はちょっと変わった英語習得のノウハウが詰まっている

長編小説やビジネス書を英訳するとなると、なかなか骨が折れる作業だ。これまで本を出版・流通させる場合は、日本国内の読者をメインに考えていたと思う。しかし電子書籍が登場したことで、その対象は海外まで広がり、スマホとアプリがあれば世界中の読者に自分の作品を届けられるようになった。

ただやはり言語の問題がつきまとう。自分自身が日本語と英語(その他の言語)で執筆できるならともかく、そうでない場合はそれなりの費用がかかってくる。10万文字の作品ともなれば、翻訳費用だけで相当なものだ。しかしながら、電子書籍というのはあまり長い文章を読むのには向いていない。キュレーションアプリなどで記事を読む機会が増えていることもあり、スマホで長文を読むということはあまり好まれないのかもしれない。そんなこともあり、僕たちも長い作品については、上下巻や1、2、3巻などに分けて出版するようにしている。

絵本は電子向きそして世界向き

電子書籍で海外向けに発信するのに適しているのが「絵本」ではないだろうか。

絵本はその名の通り絵をメインにした読み物だ。文章やセリフはあまり長くなく、絵を見ることでおおよそのシチュエーションは理解できる。最近では絵だけの絵本も多く出版されている。翻訳をするとしても文字数はかなり少ないため、時間的にも費用的にも手軽だ。日本の書店で絵本コーナーを見ると、その殆どが日本の作家さんの作品で、海外の作品はあまり並んでいない。これには翻訳以外にも色々と事情があるが、もっと世界中の絵本が見られたら面白いのではないかと思って眺めている。電子絵本であれば、国境を越えて作品を発信・受信することが可能だ。

ただ、これは世界的にそうなのかもしれないが、出版社側はあまり絵本を電子化することに積極的ではない。

僕が絵本の出版社へ電子書籍での出版を打診しに回っていた時、殆どの出版社から「絵本は紙で見るもの」「電子で絵本なんて考えられない」と言われた。たしかに、本というものの存在を知り、紙を手で触り、ページを捲り、想像力を巡らして一喜一憂する。ママやパパの膝の上で、ベットで添い寝をされながら、お気に入りの一冊を読み聞かせしてもらう。長いこと絵本はそういう役割を果たしてきた。確かにその時に思い浮かぶのは、タブレット端末ではなく紙の本だ。僕もそこは紙の本だと思う。

しかし、例えば親御さんが仕事でいない時、子どもが一人で絵本を眺めることもあるだろう。そんな時、タブレットやスマホに入った電子絵本なら、アプリの中のデータを開いてママやパパの声を流すこともできる。タブレットやスマホをTVに繋いで、紙芝居のようにみんなで絵本を読むこともできる。無料で電子版の原画や作品のダイジェストを紹介し、全編は紙で販売するという使い方もできるだろう。SNSを連携させることで、作品に対する口コミを拡散することも可能だ。

大切なのは作家の想い

先日、「え〜ほん絵本原画展」というイベントに行ってきた。
そこでは絵本の原画をはじめ、作品の紹介資料やグッズなどが展示され、読み語りなどの催しも行われていた。さらに作家自身が在廊し、自分の作品や仲間の作品を紹介し、その想いなどを来場者と共有する。いつも思うが、作家と直接会うというのはいいものだ。

2016年4月東京ビックサイトで開催されたクリエイターEXPOで出会った、絵本作家のこばやしまりこさんとは、その後も色々とご縁を頂き、今回も新作を展示されているということでお邪魔させてもらった。いつもSNSなどでお付き合いはあるものの、お会いして熱を感じながら話を聴くと、作品の見え方も変わってくる。今回もまりこさんの作品や原画の数々を堪能した。

忍者の衣装をまとった、こばやしまりこさんと

「え〜ほん」というのは、日頃より絵本について学び、情熱をもって創作する作家の集まりで、 2018年で活動19周年を迎える。 よりよい絵本の創作を目指し活動を続けている。プロとして作品を出版している方もいれば、そうでない方もいる。出版はしていないとしても、とても素敵な作品を描いている作家さんは大勢いるのだ。この日も、ちょっとシリアスな内容だったり、エンターテインメント性の高いものだったり、深く考えさせられる親子の絆に関するものだったりと、素敵な作品が盛りだくさんで、全然時間が足りなかった。

海外で人気が出そうな「にんじゃがかくれてる」(さく・え こばやしまりこ)

僕が世界の人たちに見てもらいたいさ作品「the world」(さく・え こばやしまりこ)

ママの愛情がたっぷりの作品「いたいのいたいの」(さく・え ふじきかおり)

額に入るとさらに美しさを増す原画たち

絵本は、親(大人)が子どもたちを想う気持ちに溢れ、子どもに知って欲しいことや好奇心を育てること、人にやってはいけないことややってあげて欲しいこと、ある種のコモンセンスのようなことがいっぱい詰まっていると、僕は思っている。プロ作家さんの作品は、そうでない方のそれと比べると、より優れている部分が多いのかもしれない。でも読者としての僕から見ると、どの作品でも子どもたち心に響く部分があり、出版されていないということで、読者の目に触れることがないのがとても残念に思った。さらには、日本の里山など原風景、日本が世界に誇る新幹線や、日本固有のキャクターである忍者など、世界の子どもたち(ママとパパも)に見てもらいたい作品もたくさんあった。

その国の歴史や文化、慣習を知る本はたくさん出版されている。僕たちもいま現在「世界の架け橋eBOOKプロジェクト」として、世界中の留学生・元留学生に偉人を通して母国を紹介する本を書いてもらっている。きっと絵本もその役割を十分に果たすものではないだろうか?むしろ絵本がその最初の一歩になるのではないかと思う。

世界の共通言語が笑顔だとしたら、その源を創るのは絵本なのかもしれない。そして今後は電子絵本がその役割を担っていくと僕は信じている。

 

こばやしまりこさんのウェブサイト「こばやしまりこFACTORY」
http://www.kobayashi-factory.com

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