最高の授業を世界の果てまで届けよう!

公開日: : 教育問題, 教育格差

教育を受ける機会を生み出す若者たち

2018年9月ユニセフ世界が発表した統計によると、世界で学校に通っていない5歳から17歳の子どもの数は3億300万人で、その3分の1以上に相当する1億400万人は、紛争や自然災害の影響を受ける国に暮らしているという。世界で教育を妨げる最大の要因は依然として貧困であり、最貧層の初等教育学齢期の子どもが学校に通えない可能性は、最富裕層の同年齢の子どもと比較して4倍高いそうだ。貧困の要因としで、十分な教育が受けられないということが挙げられる。これはまさに負のスパイラルだ。

満足な教育を受けられない理由は他にもある。それは教師が不足していること。特に途上国の農村部における教師不足は深刻だ。アジア最貧国のバングラデシュでは、4万人の先生が不足していると言われ、高校まで進学できた農村部の生徒たちも、満足な教育を受けることができず、大学受験の道を諦めてしまうという。高校まで進学できればまだマシな方という国々もたくさんある。

そんな途上国の子どもたちの教育課題解決に取り組んでいるのが、特例認定NPO法人e-Educationだ。e-Educationでは、教師不足により教育が行き届かない地域にDVDを用いた映像授業を届けている団体だ。日本で言えば「いつやるか?今でしょ!」でお馴染みの予備校講師の方のような「最高の先生」の授業をDVDにして各学校に届ける。各学校ではモニターを使って、いつでも、どこでも、なんどでも、そしてみんなで受講できる体制を作り、授業を提供する。

このDVDによる映像授業により、授業を受けた生徒の一人が、国内No.1の国立大学であるダッカ大学に合格した。また、2017年までに200人以上の貧しい家庭の高校生が、難関大学に進学している。バングラデシュで始まったプロジェクトは、「世界中の貧しい子どもたちに、不可能はないことを教えてあげてほしい」という生徒たちからの想いを受け、2018年3月までに14カ国へ事業を展開した。延べ3,000本のDVDが作成され、20,000人の子どもたちに届けてきたというから驚きだ。現在ではモニターによる授業だけでなく、個人に端末を配布し、一人一人が自分の好きな時間に、好きな授業が見られる取り組みも行なっている。そこには様々な技術を持った数多くの企業や、応援する個人サポーターの存在がある。

最高の授業を世界の果てまで届ける

先日縁あってe-Educationの活動報告会に参加した。梅雨らしく雨が降りしきる中、70〜80名ほどの参加者が会場に犇いていた。私と同世代かもうちょっと上の世代が多いのかと思いきや、10代20代の若者たちが三輪代表をはじめとしたプレゼンターの話に目を輝かせている。そこには高校の制服を着た人たちもいて、ディスカッションの時間には積極的に質疑応答を行い、これから自分が世界に対してできることを一所懸命模索しているようだった。

若者だちを惹きつけるのは、本人たちのソーシャルワークへのリテラシーの高さもさることながら、やはりe-Educationの皆さんの情熱と志だと感じた。各人のプレゼンの中に何度も出てきた「熱量」という言葉。活動を立ち上げた時にも、バングラデシュでのテロ発生後活動停止を余儀なくされた時にも、新たな国で映像授業を導入してもらうために現地語でプレゼンをした時にも、活動報告でサポーターやサポーター候補に活動内容を伝える時にも、彼らはとびっきりの「熱量」をもっていた。ここまでこの活動が広がってきたのには、様々な理由があるとは思うが、このプロジェクトに携わる全ての人間が、大いなる情熱を持っていることが最大の理由だと確信できた。

今時の若いやつらは「熱意が足りない」「本気度が足りない」「何を考えているかわからない」そんな声もよく耳にするが、本当にそうだろうか?実は肚の底では燃えたぎる情熱を持っていて、ただそれを噴出させる場、熱量を上げられる環境が無いだけなのではないだろうか?そして、われわれ大人がその対象となっていないだけではないだろうか?そんなことを思わせるイベントだった。

e-Educationの活動は今後も間違いなく拡大を続け、彼らの言う通りきっと「最高の授業を世界の果てまで届ける」だろうと確信した。大人である自分はこれから何ができるだろう?そんなことを改めて真剣に考えさせられた。

 

e-Education
http://eedu.jp

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