日本発の新しい出版の仕組みがはじまるか?

公開日: : 出版社, , 本の電子化, 電子書籍

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日本出版における再販制度が揺らぎ始めたのかもしれない

60年以上続く再販制度(再販売価格維持制度)は、出版社が出版物の小売価格を決めて書店で定価販売できる制度。日本では、メーカー同士が価格を決めて維持するのは禁止とする「独占禁止法」が存在します。しかし、書籍をはじめとする出版物はこの法律から除外されています。

それにより、出版社は本の価格を自由に決めることができ、販売する書店はその価格に従って本を販売しています。この制度があるおかげで、私たちは書籍や雑誌を全国どこでも同じ価格で購入できるわけです。

もし再販制度がなくなったら、、、

・本の種類が少なくなる
・本の内容が偏るようになる
・価格が高騰
・遠隔地では都市部より本の価格が上昇
・町の本屋さんが減る

といったことが起こります。
再販制度がなくなれば当然安売り競争が勃発し、書店が仕入れる出版物は売れると思われるものばかりになるでしょう。専門書などの出版物は書店の棚に並ばなくなってしまうかもしれない。そういうこともあり、これまで出版業界では、長い間この再販制度を維持してきました。
しかし、「自由な競争を促進する必要があるのではないか?」という議論も出版業界と公正取引委員会の間で行われてきました。出版社が自由に判断してもいいのではないかという意見が多くあがり、出版社が再販する本と値下げを認める本を自由に決めることができる「部分再販」や、発売後一定期間が経過した後は自由に値下げを認める「時限再販」という考え方も出ました。結局、公正取引委員会は混乱が生じるかもしれないということで、2001年に再販制度を当面は継続するという結論を発表したという歴史もあります。

ついに日本の出版社も動き出す

2010年のアマゾン襲来から、電子書籍の販売やストリーミングによる月額読み放題などのサービスが展開され、日本の出版業界もアマゾンの動きに一喜一憂を繰り返してきました。最近では2016年10月に、アマゾンの定額読み放題サービスに、文芸書・実用書・ライトノベル・児童書・絵本・写真集・雑誌の一部など1000超を提供していた講談社の作品のうち10数作品が、サービスが始まって1週間足らずで、講談社に何の断りもなく削除されたという話題がありましたね。

アマゾン読み放題、勝手に「20社削除」の衝撃(東洋経済ONLINE)

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あれから1年が経ち、ついにその講談社が新しい独自の動きを発表しました。「週刊ヤングマガジン」や「モーニング」など6誌の漫画雑誌が読み放題となる定額制アプリ「コミックDAYS」をリリースしたのです。
“これまで講談社が運営する電子コミックサービスは「1つの編集部につき1サービス」が基本だった。「コミックDAYS」はその制限を超え、6編集部が横断して作品を提供する。値段は月額720円。海賊版サイトの横行などが深刻化する中、試金石となるサービスとも言える”(DIAMOND onlineyより)

講談社のマンガ6誌読み放題アプリを生んだ出版界の危機感

これはアマゾンへの対抗というよりも、海賊版への対策という要素が強いかもしれませんね。ただ、これまでの出版社内の仕事のあり方を変え、再販制度とは関係のない電子書籍で、それも定額読み放題に踏み切ったというのは、今後の日本の出版業界の変化を予感させるものです。これにより一気に紙から電子、一冊の購入から読み放題にとって変わることはないでしょうけど、長く続いた仕組みに一石を投じたことは間違いないかと思います。再販制度によって長く守られてきた、「出版社ー取次ー書店」の関係を見直し、読者も含めた新しい仕組みを築いていく必要があるのかもしれませんね。

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