情けは人のためならず〜浦島太郎
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昔話
ある日、漁師の浦島太郎が浜辺を歩いていると、亀が子供たちにいじめられているところを見かけます。
そこで子供たちから亀を助けて、海に逃がしてやります。しばらくして釣りにいくと亀があらわれて、浦島太郎を龍宮城へ招待します。
亀の背に乗って目をつぶると、海の底の龍宮城につきました。
浦島太郎は、乙姫様の歓迎を受け、夢のような時間を過ごします。数日の間楽しく過ごした太郎は、故郷のことが心配になり、村に帰ることになります。別れ際、乙姫様は太郎に、「けっしてふたをあげないように」と言って、玉手箱を渡しました。浦島太郎が亀の背に乗り、目をつぶると、もとの海辺につきました。
ところが故郷の村は、すっかり様子が変わっていまっていました。龍宮城での三年は地上の三百年だっのです。さびしくなった浦島太郎が、乙姫さまとの約束をわすれて玉手箱をあけると、白い煙が出てぎて、太郎は白髪の老人になってしまいました。皆さんよくご存知の「浦島太郎」の話ですね。
万葉集にも浦島太郎の記録があった
浦島太郎の話はとても古く、から『丹後国風土記(たんごのくにふどき)』や『万葉集』などにも記録され、平安時代以降も説話集や和歌などに多く取りあげられてきました。
そのため、国文学者による文献研究がとてもさかんです。もともとは丹後地方を治めていた、漁民系の氏族伝承ではないかと考えられています。ただ古い記録の中には、仙人や海上の霊山と伝えられる蓬莱山などの記述が見られるため、中国の神仙思想の影響を受けていたとも考えられています。
各地で内容に違いが出やすい昔話の中で、この話は各地の伝承で大きな違いがないと言われます。
1910(明治四十三)年に、当時の文部省の国定教科書に登場してから、四十年にわたって小学校二年生の教育に用いられてきたことが、その理由といわれています。同じ型の話が、教科書によって全国津々浦々に浸透していったのですね。
きっと、皆さんが子供の頃に聞いたり読んだりした浦島太郎も、こんな内容の話でしたよね?
各地で伝えられる浦島伝説
ただ、日本各地で伝えられた浦島太郎を細かく調べてみると、実は少しずつ違いがあるのです。
例えば東北地方の一部では、主人公の男の職業が「きこり」や「炭焼き」になっています。
また島根や福島では、龍宮城で「四季の間」や「四季の庭」に案内され、その美しさに暫し見惚れて地上に戻ってみると、庭石だけが残っていて、母親の墓が木の葉にうまっています。
途方にくれて箱をあけると、第一の箱からは鶴の羽、第二の箱からは白煙、第三の箱からは鏡が出てきて、
鏡をのぞくとおじいさんが写っていました。そのうち鶴の羽が背中について、飛びあがると、乙姫様がやってきて、いっしょに舞をまいます。これが、伊勢音頭の鶴亀の舞の始まりと伝えます。一般的な浦島太郎とは、だいぶ趣が違いますね。
浦島太郎の話に込められた教訓とは
最後に、浦島太郎のお話で伝えられる教訓について。
このお話には2つの教訓がありますね。
1つめは「良いことをすると自分に返ってくる」ということ
物語の中で、亀を助けた浦島太郎が、龍宮城で乙姫様から盛大なおもてなしを受けました。これは、誰かのためにしてあげたことが、いつか自分にとって良いこととして返ってくると言う意味ですね。良いことをするときっと自分にも返ってくると、私も祖母に教えられました。
2つめは「約束を守らないとその報いを受ける」ということ
乙姫様から、「決して開けてはいけない」と言われた玉手箱を開けてしまったために、浦島太郎は老人になってしまいました。約束を守らないと、ひどい目に合うということを伝えています。
皆さん、ぜひ日本の昔話を読み返してみて下さい。
新しい発見があるかもしれませんね。
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