日本古来の発酵食品を見直そう

公開日: : 最終更新日:2023/02/10 昔話

先日体を壊しました。
年齢的なものもありますが、日頃の健康管理はとても大事ですね。自分の体、自分の人生は自分でしっかり管理しなければいけないと、改めて実感しました。

特に大切なのは「食事」。人は食べたもので出来ているというのは、よく聞く言葉です。
どんな田舎にもコンビニがあって、いつでも食べ物が買える昨今、ついつい「作るのが面倒だからコンビニでいいかな」なんてことありませんか?

私も以前はそうでした。でも、家族に食事を作るようになってから、コンビニとは縁遠くなりました。体を壊してからはますます、食生活を見直すようになっています。特に昔ながらの発酵食品を進んでとるようにしています。

発酵食品といえば「味噌」。味噌汁は日本のソウルフードですね。

最近はインスタント食品の味噌汁が充実しているので、色々な味噌汁を楽しめますが、やっぱりだしを取った味噌汁の味って違いますよね。うちも毎日ではありませんが、だしを取って味噌汁を作ります。冷汁なんていうものもありますが、味噌汁は基本的にあたたかいものというイメージですよね?でも、民話の中では冷たい味噌汁を好む者がいるんです。

それは、カワランベー。カワランベーとは河童のことで、今の長野県で語り継がれている民話です。味噌汁が登場する、カワランベーのお話をみていきましょう。

カワランベーのあらすじ

むかし、むかし、信州にある和合川に、一匹のカワランベー(河童)が住んでいました。
このカワランベーは、立派なお膳やお椀を必要なだけ貸してくれるので、村人達から大変ありがたられていました。
カワランベーからお膳やお椀を借りたら、必ず好物の麦飯と冷たい味噌汁を持っていくのがならわしになっていました。

ある日、長者さんのところの使用人である一番年若い娘が、顔にイボができて治らず困っていました。
カワランベーのいる黒淵の水が、イボに効くという噂を聞いて、顔を洗わせてもらおうと出掛けていきました。

川に着いて事情を話すと、カワランベーは娘に快く水を使わせてあげました。
カワランベーがふと娘の顔を見ると、娘の前歯が折れていました。
カワランベーは、その事を冗談のつもりで冷やかしました。
娘はからかわれたことを、たいそう気にしていました。

しばらくして、長者さんがカワランベーから借りていたお膳を返すことになり、この娘がそれを持っていくことになりました。
カワランベーの好物である冷たい味噌汁も一緒に運んでいましたが、その途中、娘は道端に生えていた蓼(タデ)の葉を見つけます。
前に歯のことをからかわれた娘は、ちょっとした仕返しのつもりで、蓼の葉を味噌汁の中に入れました。

カワランベーは、何の疑いもなく喜んで好物の味噌汁を飲みました。
すると、カワランベーにとってタデの葉はとても辛く、喉を焼き焦がすものでした。
カワランベーは、口から黒い煙を吐ながら悶え苦しみ、空に黒雲を呼び嵐を起こし川を氾濫させて、七日七晩大暴れしました。
それ以来、カワランベーは川から姿を消し、村人たちは、二度と椀や膳を借りる事が出来なくなってしまいました。

というお話です。
「蓼食う虫も好き好き」という諺があるように、蓼は草全体が辛く、特有のにおいを持っています。
娘さんのちょっとした仕返しが、村全体の損失になってしまいました。「こんなことくらいで・・・」と思うことが、大事になるのはよくある話です。後のことを考えて気をつけたいものですね。ただ、もとはと言えば、カワランベーが娘さんをからかったことが原因です。人の容姿などは、からかうもんじゃありませんね。このお話には、そういう教訓が含まれていると思います。

味噌汁はいつから飲まれているのか?

さて、民話の中にも登場する味噌汁ですが、いつ頃から飲まれているのでしょうか?

味噌の起源は古代中国の食品「醤(しょう/ひしお)」「豉(し/くき)」というもので、これが日本に伝わったのは、飛鳥時代と言われています。701年の「大宝律令」に「未醤」という文字が書かれていて、この「みしょう」が「みしょ」となり「みそ」へと変化したということなんですね。「醤」というのは、鳥獣の肉や魚を、雑穀や麹、塩と漬け込んだ「魚醤」に近い発酵食品のこと。「豉(し/くき)」は大豆や雑穀と塩からつくられた発酵食品です。当時の味噌は現在のようなペースト状のものではなく、豆そのものも形をした納豆のようなもので、指で摘まんで食べていたそうです。

平安時代、朝廷のしきたりや行政の形式をまとめた「延喜式」の中にある「造雑物法」に、初めて「味噌」という文字が登場します。貴族たちへ支給された物品の中には「未醤(みしょう)」というものがあって、この未醤がいわゆる味噌だったんですね。この頃は今のように調味料として料理に使うわけではなく、食べ物につけたり、 舐めたりしていました。そしてまだまだ上流階級の人だけが口に出来る贅沢品でした。

味噌は武士たちの貴重なタンパク源だった

鎌倉時代に入り、中国から新しい習慣や食文化が流入してきました。この時すり鉢も伝わって来るんですね。すり鉢を使って粒味噌をすりつぶしたら、水に溶けやすくなったので、これを器の中で溶かして味噌汁として飲むようになりました。それ以来武士たちの食事は「一汁一菜」という形式が基本になりました。一汁一菜のスタイルはこの頃に出来たんですね。

室町時代になると大豆の生産量が増えて、農民たちが自家製の味噌を作るようになります。そして味噌は保存食として庶民にも浸透していきます。この頃、味噌汁も庶民の食卓に登場しました。現代に伝わる味噌料理のほとんどは、この時代に作られたそうです。

戦国時代に入ると、味噌が大活躍をします。味噌は調味料であるとともに、貴重なたんぱく源でした。さらに長期保存が出来る優れものだったので、戦国武将たちは戦場での食料に必ず味噌を持参したのです。陣中食として干したり焼いたりした味噌を食べたり、味噌汁として飲まれていました。

上杉謙信は「越後味噌」、武田信玄は「信州味噌」、豊臣秀吉、徳川家康は「豆味噌」、伊達政宗は「仙台味噌」といったように、各武将たちがオリジナルの味噌づくりをすすめていたといいます。

全国に広がった味噌汁文化

時は流れて江戸時代。戦国の世が終わりを告げようとする頃、各地の御用商人たちによって味噌の製法が引き継がれていきました。江戸の人口が増えるにつれて、味噌の需要も増加し、生産が追いつかなくなります。そこで、三河や仙台から味噌が江戸へと送られ、味噌屋が大繁盛します。こうして庶民の家庭の食卓でも味噌汁が飲まれるようになりました。

明治から大正、昭和の時代を経て、戦後になると味噌の味は大きく変化します。まだ自家製味噌を作る農家が多かった1948年、農村生活改善普及事業が始ったことで、味噌の製法に関するガイドラインが決められ、衛生面や栄養面など改善指導が入りました。いま一般的売れられている味噌の味は、ここで確立したといわれています。

その後1974年、画期的な味噌汁が登場します。フリーズドライ製法が確立しがことで、現在のインスタント味噌汁が生まれたのです。さらに1981年には、だし入り生みそタイプも発売され、誰でも簡単に美味しい味噌汁が作れるようになったのです。味噌の容器も樽からカップへと変化し、冷蔵庫でも保存しやすいものとなりました。現在はだしも粒状のものが売られていますからね、一般家庭では本格的にだしを取って味噌汁を作ることはあまりないかと思います。

飛鳥時代に日本に伝わった味噌の原形が、戦国時代に味噌汁として飲まれるようになり、江戸時代に庶民の食卓へと広がって、今やインスタント味噌汁となっていつでもどこでも作れるようになりました。それにしても味噌汁は日本人の食卓に欠かせないものですね。発酵食品である味噌は体にもとてもいいものです。今日も味噌汁を飲んで、元気に過ごしましょう!

 

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