現代に通じる豊臣秀吉のセールス：手紙編

一介の草履取りから、ついには天下人となった豊臣秀吉。
彼の立身出世にまつわる物語や書物は多くあるが、人たらしとも異名をとった秀吉には学ぶべきところがたくさんあります。今回はその中でも特にセールスという点からみて手紙について学んでみたいと思います。

とにかく秀吉は筆まめです。何か事あるにつけ手紙を送っています。
現代と違い手紙が貴重な通信手段であったとは言え、戦国大名の中でもとびきりの筆まめさ、そしてその文面のユニークさで知られています。
例えば戦いに行く前に妻に手紙で状況報告、そして戦いの途中や戦いからの帰路など、状況や気持ち、考えを事細かくしたためて送っています。

また信長の下出世をしていく過程でも、信長に対する報告は、信長自身が秀吉からの報告を「面白い、状況が目に浮かぶ」と評価している事でも工夫がされていたことが伺えます。毛利攻めの際、地理から状況まで事細かく知らせており、具体的に戦いに勝つには軍勢がどれ位必要か？兵糧・金はいくらくらい必要か？期間はどれくらいかかりそうか？またどのような作戦が上策と考えているか？をまとめあげ大変信長が満足したという逸話があります。

秀吉の手紙のパターンは決まっているわけではありませんが、

?とにかくマメであること。
?感情が入っている内容になっている。（少し大げさ）
?手紙は状況が目に浮かぶように分かりやすく工夫している。
?状況により相手に必要な情報を整理し分かりやすくまとめている。
?相手を持ち上げている。（上司・部下など関係なく）

これを現代的に活用するなら、特に?の感情が入っていることは特色で、「こんなに真剣に思っているんだ」とか「心配で食事もままならない」などの文章が折り込まれています。

また状況や報告・提案は時代の違いこそあれ、より分かりやすくするための工夫がなされています。ちょっとした絵を文章に入れるなどしており、幕末では坂本竜馬が同じように手紙で活用しています。

今日でも様々なプレゼン方法がありますが、とにかく相手に分かりやすく伝え、また解決策から提案、自分の考え、現在の状況など分かりやすくまとめると効果的でしょう。そして相手を持ち上げる。ほめるという事です。秀吉は、上司（信長）に対しては気持ちの悪いほどの持ちあげようですし、部下に対しては「お前がいるから戦いに勝てた。お前なしでは心もとない、本当に頼りにしている。」など当時の武将では珍しく部下にも大変気を使っていたことが伺い知れます。

後年天下人となった秀吉ですがその筆まめさは変わらず、諸国の大名に手紙を送る際にも自分が直々に書いているとＰＲするため「印鑑」を用意させ判を押していたといいます。

秀吉は戦話や茶の話や人物譚が特に好きでよく色々な武将と話していたそうです。
その中で仕事についても触れています。
「自分は卑賤の身だった。信長公に仕え骨が擦り切れるほど働いた。すべてにおいて
人の何倍も仕事をし、考え抜き耐えてきた」
「相手の立場になり喜ばせるにはどうしたらいいか？理解されるにはどうしたらいいか？和解するにはどうしたらいいか？そんなことを考え眠れない日が何日もあった。しかしそのことがあるから今がある。そして不思議と答えがわいてくるものだ」
と若い武将たちに話したといいます。

秀吉の仕事術、今回は手紙に焦点を当てました。
まだまだ工夫すべきことがたくさんあります。
今後の仕事に生かしていきたいと思います。

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