「本」の未来を考えなければ


先日とあるIT系の一般社団法人の方と、電子書籍に関する情報交換の機会を頂きました。

その方は業界関係者や学会などとともに、電子書籍の新しい使い方や広め方を研究しています。僕たちのサービスやシステムに興味を持って下さり、いろいろなお話をさせて頂きましたが、特に印象的だったのは先の東京国際ブックフェアについて。僕たちも出展したブックフェアですが、それまでのフェアとはだいぶ趣向が違っていました。

 

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2012年から2015年までは、電子書籍関連のシステムやコンテンツ販売が特に目立っていました。パブリッシングシステムからビュワーアプリ、デジタルコンテンツ、そしてクリエイターさんたちと、非常にビジネス色の強いフェアでした。でも今年は、「読者向け」というコンセプトの下、さながら書籍のバーゲン会場のようなイメージでしたね。ブースを出しているのは出版社や書店がほとんどで、普段はされることがない「割引」を目玉にして、大声を上げて販売していました。読者にとっては普段は買えないような書籍が手に入る絶好の機会なのかもしれません、が、それはあのような展示会でやらなくてもいいのでは?と思いました。

 

前出の社団法人の方もおっしゃっていましたが、「本」というものの新しい未来を創るためには、電子書籍をいかにビジネスに活用するか、そしてどのようにして一般消費者の生活に浸透させていくかが重要ですね。電子書籍で言えば現在はAmazon社の独走状態であり、紙の本の販売についても消費者の多くがAmazonで購入している状況です。そんな中で日本の出版社が束になって、打倒Amazonのために大販売会を打ち上げた、それが今回のブックフェアの印象でした。

 

それでいいのかな?

僕たちは出版事業に関してはまだまだ新人です。でもこれまでの出版事業をする気はありません。普通に考えれば紙で出版していたものを電子書籍として制作するという事業になるわけですが、僕はそれでは出版の未来はないと思っています。出版不況と叫ばれるようになって久しいですが、不況状態を作ってしまっているのは他でもない出版業界自身じゃないかと思います。

Windows95の発表からパソコンが隆盛を極め、スペックのアップと機能の追加を重ねながら販売台数を落とし行き、スマートフォンに取って代わって行きました。それにより、当時溢れかえっていた日本のパソコンメーカーが次々と姿を消しました。出版業界もその時を迎えていると思うのです。

 

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この方は日本の出版業界をどう見ているのか?(写真はWikipediaより)

 

紙と電子の違いや、打倒Amazonをやっている場合ではなく、出版ひいては「本」というものの未来を考えなくてはいけない時期が来てしまったんです。デジタルだからできることを本に融合させ、新しいコンテンツを提供し、人々のライフスタイルを変えるような仕組みを生み出すことを本気で考える必要がありますね。それはパソコンと電話を融合させ、それまでの決まったアプリケーションを使うスタイルから、自分でカスタマイズできるようにしたiPhoneのように。

 

その意味で、今回のブックフェアは出版業界の後退を感じさせるものでした。僕たちも含めて、もっともっと本の未来を考えていかなければいけないですね。来年のフェアは、未来を創るためのものであることを願います。

 

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