読者のために出版界に変化を


■本の売り上げは図書館が影響している?■

 

絵本作家としても活動しているキングコングの西野亮廣氏が、自身のブログで、自著『革命とファンファーレ~現代のお金と広告~』(幻冬舎、1500円)を、全国の図書館5,504館に自腹で寄贈するというニュースが、今日ネット上を駆け巡っていました。

キンコン西野亮廣、全国図書館5504館に自腹で著書寄贈(毎日新聞)

 

奇しくもその数日前、文藝春秋の松井社長が、図書館に対して、「図書館は文庫の貸し出しを、できればやめていただきたい。これはお願いでございます」と、文庫本の貸し出しの中止を依頼。さらに、図書館での文庫貸し出しが文庫市場の低迷に影響しているとして、読者に対しても「文庫は借りずに買ってください」と訴えていました。松井社長は、「確たるデータはないが、近年、文庫を積極的に貸し出す図書館が増えている」と指摘し、「それが文庫市場低迷の原因などと言うつもりは毛頭ないが、少なからぬ影響があるのではないか」と考えていると。

 

出版大手社長「図書館で文庫本貸さないで」、売れ行きに影響は(TBSニュース)

 

西野氏が自腹で寄贈を発表したのも、この松井社長の発言がきっかけだそう。僕もこの松井社長の発言には驚きました。

図書館で本を借りるという習慣が広く全国民に根付き、本は買うものでなく借りるものという国家戦略にでもなれば、当然本を販売する出版社にとっては、大打撃だと思います。しかし、日本図書館協会が発表している『日本の図書館統計』を見ても、2016年の公共図書館の個人貸出登録者数は5,750万人、貸出点数は7,035万点で、平均すると月間1.22点。果たして売れ行きに影響があるほど、図書館の存在は大きいのでしょうか。

 

スクリーンショット 2017-10-15 21.08.22

 

■新しいチャレンジが必要出版界■

 

西野氏は、図書館や本の貸し出しは「書籍の売上に圧倒的に貢献してくれている」「図書館の貸し出しは、書籍の売り上げに直結します」と言っています。書籍の売上減少は「図書館のせいではありません。一部の出版関係者が本ばかりを読んで、時代を読まないことが原因です。出版不況でも、誰かのせいでも何でもなくて、サボった結果がキチンと反映されているだけです」とも。

 

出版関係者がサボったかどうかはわかりませんが、2011年に米Amazon社が日本に本格参入し、様々なサービスを展開する中においても、日本の出版界はそれに対抗できるような施策を出すことが出来ていないというのが現状でしょう。スマートフォンやアプリの台頭で、人々の嗜好が本から離れていったということはあるかもしれません。それならそれで、デジタルを活用した新たなサービスを展開することも考えられるのではないでしょうか。

 

また西野氏は、昨年10月に発売された自身の絵本『えんとつ町のプペル』を、今年1月に全ページ無料公開しました。ネット場で全ページを無料で見せたら、買う人がいなくなると仲間からも批判されたそうですが、逆に発行部数は上昇し、30万部を突破したといいます。

新しいチャレンジを次々と展開するAmazon社や西野氏と比べて、日本の出版業界の動きがだいぶ遅いのではないかと思います。ここ最近も出版社を多数回りましたが、ほとんどの会社が電子化されていない状況。理由は「電子書籍は売れないから」。電子化して売り出していないけど、大手が売れてないから売れないと判断している。電子化すれば絶対に売れますとは言えませんが、これだけスマートフォンなどのデジタル端末が利用される中で、電子書籍を使った新しい本の売り方ができると思わないものでしょうか。

そのあたりも提案させてもらいましたが、、、僕の提案力不足かな(汗)

 

■変化していくものが生き残る■

 

いつの時代も、どの業界でも、生き残るのはやはり変化していけるところだと思います。ありえないようなサービスや、思いもよらない施策を打ち出していけるか、そして何より顧客(本でいえば読者)の方を向いているかどうかが、ますます重要な時代になりましたね。

 

図書館で本を貸し出さないことで売上をあげるというよりも、皆が本に親しむ環境を提供し、本を好きになる、買いたくなるようなサービスを展開することで、結果売り上げがあがる仕組みを生み出す方がよいのではないでしょうか。僕たちも、出版関連のみなさんとそんな仕組みづくりをしていきたいと思います。

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