松下幸之助の言葉 危機に際して

公開日: : 最終更新日:2025/12/09 未分類

pho5863

祈る松下幸之助

真摯さが伺えます。

万策尽きたと思うな。断崖絶壁に立ってこそ風は吹く

「もうダメだ」「もう手はない」。

経営をしていても、仕事でも、人生でも、心のどこかで

そうつぶやきたくなる瞬間があります。

夜中に一人で数字とにらめっこをしていると、

「どう考えても、この先の打ち手が見えない」と、

胸がきゅっと締めつけられるような感覚になることがあります。

 

そんなとき、松下幸之助さんのこの言葉は、

実に厳しく、しかし同時に温かいメッセージとして響いてきます。

 

「万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵に立て。

その時はじめて新たなる風は必ず吹く。」

 

絶壁の淵など、本当は立ちたくありません。安全な場所にいたいし、

できれば痛い思いはしたくない。それが人間の正直な本音です。

それでもあえて、自分から「断崖絶壁の淵」に立つとはどういうことなのか。

一度、腰を据えて考えてみたいと思います。

 

■何度も倒産の危機に立たされた「経営の神様」

 

パナソニックを一代で築き上げ、

「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助さんですが、

その道のりは順風満帆だったわけではありません。

 

創業当初は、発明しても売れない、資金が足りない、信用がない。

社会情勢も激しく揺れ動き、戦争や不況、財閥解体の波にもまれました。

 

あるときには、従業員が次々と辞めていき、

最後に残ったのは妻とその弟だけ、

という状況まで追い込まれたといいます。

普通なら、ここを「万策尽きた」と感じてもおかしくありません。

 

しかし幸之助さんは、そのどん底の状態から、もう一度立ち上がります。

「ここで終わらせるわけにはいかない」と腹を決め、

残った仲間と一緒に、目の前の一つひとつの仕事に全力を尽くしていった。

 

結果として、そこから事業は少しずつ立て直され、

やがて世界的な企業へと成長していきます。

 

振り返ってみれば、「万策尽きた」と思える場面こそが、

次の道が開ける入口だったのです。

 

■自ら断崖絶壁の淵に立つとは

 

では、「自ら断崖絶壁の淵に立つ」とは、

具体的にはどんな姿勢を指すのでしょうか。

 

僕はそれを、

「逃げ道を残したまま悩むのをやめる」ということだと受けとめています。

 

「うまくいかなかったら会社のせいにしよう」

「ダメだったら環境のせいにしよう」

「最悪、誰かが何とかしてくれるだろう」

 

心のどこかでそう思っているうちは、本気になれません。

ところが、腹をくくって

「これは自分の人生の勝負どころだ」

「ここで逃げたら、きっとあとで後悔する」

と決めた瞬間から、同じ景色がまったく違って見えてきます。

 

・誰かに任せていたことに、自分から踏み込んでいく

・怖くて先送りしていた電話を、今日中にかけてみる

・本気で相談できる人に、弱音も含めて本音を打ち明ける

 

こうした一つひとつの行動が、

「断崖絶壁の淵に、自分から立つ」ことなのだと思います。

 

■追い込むのは「自分の覚悟」であって、「自分の命」ではない

 

ここで勘違いしてはいけないのは、

「断崖絶壁に立つ=無謀な勝負をする」ことではない、という点です。

 

資金繰りが厳しいからといって、

見通しのない借り入れを重ねることが「覚悟」ではありません。

健康を壊してしまうほど働き続けることも、

家族との関係を壊してまで仕事だけにのめり込むことも、

決して賢い「断崖絶壁の立ち方」ではないでしょう。

 

大切なのは、

・やると決めたことから、安易に逃げない覚悟を持つこと

・同時に、最悪のケースを冷静に想定し、引き返すラインも決めておくこと

 

この二つを、バランスよく持つことです。

 

本当に怖いのは、「なんとなく」「流れで」

崖っぷちに追い込まれてしまうことです。そうではなく、

自分の意思で「ここが勝負どころだ」と決めて立つ。

そのとき、はじめて新しい風が吹いてくるのだと思います。

 

■風が吹くのは、やり切った後

 

経験上、追い込まれたときに、

すぐに追い風が吹くことはほとんどありません。

むしろ、「どうしてここまでやっているのに、状況が良くならないんだろう」

と思う期間のほうが長いかもしれません。

 

それでも、今できる最善を尽くし続けると、

不思議とある瞬間から、少しずつ道が開けてきます。

 

・思いがけない人からの紹介が来る

・ずっと温めてきたアイデアに、「やっとこれだ」という形が見えてくる

・厳しい状況を一緒に乗り越えたことで、仲間との絆が深まる

 

こうした「風」は、何もしていないときには吹きません。

断崖絶壁で、歯を食いしばりながらも諦めずに立ち続けているからこそ、

向こうから吹いてきてくれるものだと感じます。

 

■今が崖っぷちだと感じているあなたへ

 

もし今、あなたが「もう手がない」「万策尽きた」

と感じているのだとしたら、

それは決して終わりのサインではありません。

むしろ、新しい風が吹き始める前の、静かな前触れなのかもしれません。

 

大事なのは、「どうせダメだ」と心の中で

蓋をしてしまわないこと。

「まだ自分にできることはあるはずだ」と問い続けることです。

 

・誰かに相談してみる

・一度、紙に全部書き出して整理してみる

・本当に守りたいものは何かを、もう一度見つめ直してみる

 

そうして、自分なりの「断崖絶壁の淵」に立ってみる。

怖さと同じくらい、静かな覚悟が湧いてくるはずです。

 

「万策尽きたと思うな。自ら断崖絶壁の淵に立て。その時はじめて新たなる風は必ず吹く。」

 

この言葉を、僕自身も何度も心の中でかみしめながら、

これからも挑戦を続けていきたいと思います。

そして、同じ時代を生きる仲間として、あなたのもとにも必ず、新しい風が吹くと信じています。

 

■ほんの少し「踏み込む」だけでも景色は変わる

 

最後に、これは僕自身のささやかな体験ですが、シェアさせてください。

 

あるサービスを立ち上げたとき、最初の反応は正直、散々でした。

問い合わせも少なく、広告費だけが出ていく。

頭の中では「やっぱりダメだったのかもしれない」

という声が、何度も何度もよぎりました。

 

そのとき、「もうやめよう」と思えば、

そこで物語は終わっていたと思います。

けれど、「せめてあと三か月だけ、本気でやり切ってから判断しよう」

と自分に期限を切り、営業のやり方を変え、伝え方を変え、

仲間の力も借りながら、できることをすべて書き出して一つひとつ試していきました。

 

不思議なことに、その「もう一歩踏み込んだ三か月」の中で、

ご縁がご縁を呼び、少しずつ手応えが生まれてきました。

あのとき諦めていたら出会えなかった人たちの顔を思い浮かべると、

「断崖絶壁の手前で引き返さなくて良かった」と、心から思います。

 

崖っぷちに立つのは怖い。でも、ほんの少し「踏み込む」だけで

、これまで見えなかった景色が見えてくる。

その先に吹く風を信じて、今日できる一歩を、一緒に進めていけたら嬉しいです。

 

 

 

 

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石川博信

石川博信

2009年ジーレックスジャパン株式会社創業。 日本の文化や歴史好き。小学校時代は通信簿で「オール1」の落ちこぼれ。日本にある素晴らしいものごとを国内外に広めていきたい。 それが私たちの想いです。長い歴史と四季のある気候に育まれた日本文化は、国内では衰退しつつある一方で、海外では日本の食文化、武道、芸道からコミック・アニメまでその愛好者は増加しています。 国内においては、日本の持つ素晴らしいものごとを見直し、海外においては、様々な商品にある歴史、ストーリー、想いを伝えていく。 日本のものごとが国内外へ広がり、その中で日本の文化や精神性に触れる機会を多く創出し、日本の素晴らしさを知って頂く事が、日本そして人類にとってもより良い社会へ繋がると考えております。
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