YKK創業者に見る循環経営

公開日: : 最終更新日:2023/10/27 偉人伝 ものの見方

tadao  吉田忠雄 YKK創業者 善の循環経営を実践した

いろいろな名経営者といわれる方がいる中で異色とも言える経営者でもあり、

今の時代にとても学ぶべき経営者ではないかと思います。

YKKという会社は有名ですが、上場企業ではないのです。

しかし、それにはきちんとした理由もある。

「私は管理者という言葉は好きではない」

YKK創業者吉田忠雄はとてもユニークな人物としても知られる。

会社が少し大きくなり、現場へいかず机の上でふんぞり返っている

そんな管理者がすきではないという。

昭和34年インドのカルカッタに合弁会社を設立して以来、45カ国に進出

多国籍企業の筆頭上がる企業である。

独特な「善の循環」の考えを元に工場長自ら模範を示して、地域に根ざした

経営を実現をしている。

YKKはファスナーの市場を独占している。国内では99%、世界的に見ても

半数以上のシェアを占めている絶対的な強さを誇っている。

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利益3分の1主義

「他人の利益もはからなければ自らも栄えない」

これは吉田忠雄の座右の銘です。

一つの例として、YKKでの社内預金システムがある。

YKKでは出来るだけ多くの社員から給与から、1割、年2回のボーナスから

半分を社内預金制度として預けいれさせている。

更に、入社3年以上のもの達には10万円以上の社内預金があれば誰でもYKKの

株主になることができる。

配当は18%にも登る。これもあり、現在ではほとんどの株を社員が保有している。

「YKKの株はYKKへの事業への参加証のようなもの」として

「自社の株をソロバンだけで売ったり、かったりする人のには渡したくない」

語っている。

社内から集めた資金で、新しい設備を整え、事業を発展させる。

それにより、製品の品質も向上し価格も安定してくる。

さらに消費者は商品を手に入れやすくなり、商品需要は拡大していく。

関連事業も仕事が増える。

利益を上げることでYKKはもちろん関連事業でもきちんと納税をすることができ

自治体の税収も増える。税収が増えれば社会インフラがドンド整備され

国民生活が向上する。

ちょうど池に石を投げると波紋がドンドン広がるように、自らの繁栄が他人の利益

も呼び、ものごとが良いほうに循環していく。

これが吉田のいう「善の循環経営」である。

善の循環は独り占めにしてはいけない。

循環が小さくなってしまうからだ、会社にもたらされた利益は3分配する。

一つは、ユーザー顧客へ、二つ目は関連産業へ、三つ目が社員への報酬と内部留保である。

元ではいつ必要になるか分からない。だからしっかり確保していく必要がある。として

少しずつでもコツコツ内部留保もすることで、段々厚みも増してくる。

吉田自身も創業者でありながら、既得権のである株を吐き出し

社員持株制にすることで

皆で頑張れば、皆で良いことがあると語っている。

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吉田忠雄は明治41年、富山県魚津市に生まれ、20歳のときに

上京している。

知人のつてを頼って、中国陶器の貿易を手掛ける日本橋の古谷商店に就職する。

しかし、中国との関係が不穏な動きがあり、満州事変が起こり、さらに上海事変が

起きてきた。吉田はちょうどその頃に中国にいた。

そして戦争に巻き込まれて、命からがら日本租界へ逃げ込んだ。

一刻を争い日本へ逃げようとするひとで溢れかえった港をみて

吉田は不思議に腹が座ることを覚えたという。

ほとんどの店が閉めている様子をみて、吉田は逆にピンと閃きを感じたという。

お店が閉まっているのであれば、逆に開いていれば売れるんじゃないか?

下関トロール会社が冷凍の魚の処分に困っているということを聞き、

それを手に入れて販売しようと考え付いた。

しかし、中々それを運んでくれる車が見当たらない。

ようやく見つかっても値段を吹っかけれてしまう有様だったが、

今はスピードが大事だ。と高い運賃でも良いと上海の虹口マーケットへ

出かけてみると、店はほとんどしまっているから

飛ぶように売れた。ここが勝負と思い、東京の社長に電報をうって

「ツクダニ、ツケモノ、なんでもいいからおくってくれ」

といい、吉田の読みはあたり、商品は飛ぶように売れた。

大成功であった。

逆転の発想

戦争という緊急事態であり、ほとんどのお店が閉めたと聞いたとき

「シゴトはとても出来ない」ではなく

吉田は

「それはお客さんが困っているだろう」

と考えた。後年も消費者からの目線、逆転の発想で機転を利かせる

場面が幾たびも出てくる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

再び危機

昭和9年、吉田が勤めていた古谷商店が倒産した。

しかし、吉田はここで、ファスナーが買掛金として

2000円として残っているものを発見した。

今ある在庫品であるファスナーを取扱うことが合理的と考えたのかもしれない。

自分で会社を起す決意をした吉田は

資本金も潤沢ではない中でのスタートでファスナーの元売会社へ行き、

「代金を未払いのまま、1年ほどあつかえさせていただきませんか?」

と訪ねあるいた。

こうして、YKKの前身であるサンエス商会を設立した。

吉田25歳、後輩が18、15歳というチームであった。

ファスナーをみて吉田たちは、商品の改良を色々試して見た。

とにかく商品として工夫の余地が多くあったのだ。

商品を改良し十分使用に耐えられるものにすることで

顧客を獲得しようと考えたのだった。

ししてその仕事ぶりは、

「一つでも不良品を創ってはいけない。

一度不良品を扱えば、我社の商品は全て駄目なものと考えるだろう」

として徹底して品質管理を行っていった。

出来た商品は、他社よりも一ダースにつき30銭ほど高かったが

丁寧なつくりが評判が呼び徐々に顧客がついてきた。

創業間もないこともあり、

昼は、飛び込みで販路開拓に動き

夜は、ファスナーつくりに精をだすとおう日々が続いた。

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敗戦 そしてGHQ

東京空襲によって折角作った工場も焼け野原になった。

吉田は故郷へ帰り、また従業員とファスナーを売り歩くところから

スタートをした。

ある日、GHQの斡旋でアメリカ人のバイヤーがやってきた。

1本9セントで売りたいという吉田に対して

バイヤーは自分でも持ってきたファスナーを見せて

これを1本7セント40で売っても良い。という。

バイヤーが持ってきたものは機能といい、デザインといい

大変立派なものであった。

吉田はどっと汗がでたいう。既にアメリカではファスナー創りは

全自動創られており、ファスナーも性能が良くしかも大量にでき

コストも抑えられているものが創られているのだった。

吉田は、

「機械を導入しないと駄目だ」

と業界へ呼びかけたが反応は鈍い。

戦後の復興期ということもあり、どこの業界でも商品は作れば売れるという

時期でもあり、新たな挑戦ということやそもそも日本人の手先の器用さで

創れるからこれはいいんだ。など前向きな意見は全く聞けなかった。

そこで独自に輸入しようと考えた。

当時はまだ輸入規制もある、カンタンに輸入できることはなく、

吉田は何度も通産省へ行き2年半もの間、交渉し

ついに4台の機械輸入許可を得た。

金額は3万5000ドル(1260万円)内1200万円は日本興業銀行の融資

であった。YKKの資本金が19万8千円のときに実に60倍以上の高い買い物であった。

しかし、これがあったために

YKKは業界でも例がないほどに圧倒的なシェアを獲得した。

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事業はスピードだ。

会議で決めるのもいい、しかし会議など待っていることなく

ドンドン進めないと遅くなることもある。

そのためには、個人に裁量を与えておくということが大事だ。

YKKでは、役員会で多数決で決めるようことはしない。

ドンドンスピード上げて進めるので当然失敗もある。

その為に、常に内部留保を1割程度、余計にしておく。

社員も株主であるから当然会社の状況は理解している。

その中で思い切ってシゴトをしていくという。

この社風は家族主義とも、合理主義とも見える。

非常に優れた仕組みを創ったYKK創業者吉田忠雄でした。

循環経営というYKKの経営。

見習うところが多いですね。

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石川博信

石川博信

2009年ジーレックスジャパン株式会社創業。 日本の文化や歴史好き。小学校時代は通信簿で「オール1」の落ちこぼれ。日本にある素晴らしいものごとを国内外に広めていきたい。 それが私たちの想いです。長い歴史と四季のある気候に育まれた日本文化は、国内では衰退しつつある一方で、海外では日本の食文化、武道、芸道からコミック・アニメまでその愛好者は増加しています。 国内においては、日本の持つ素晴らしいものごとを見直し、海外においては、様々な商品にある歴史、ストーリー、想いを伝えていく。 日本のものごとが国内外へ広がり、その中で日本の文化や精神性に触れる機会を多く創出し、日本の素晴らしさを知って頂く事が、日本そして人類にとってもより良い社会へ繋がると考えております。
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