今に活かす松下幸之助翁の「無税国家論」
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最終更新日:2025/06/21
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松下幸之助翁の「無税国家論」を現代の日本へ!
財源の新しい考え方と未来の社会像
今こそ、こんなビジョン欲しいですよね!
今現状の話も大切ですが、世界が大きく変わるときの
100年先を見据えたビジョンが大切と思うのです。
前回は松下幸之助翁の「新国土創成論」について、
現代の日本にどう活かしていくか、未来のビジョンをまとめてみました。
今回は、翁のもう一つの、いや、もしかしたらもっと大胆で、
私たちに希望を与えてくれるかもしれない考え方、
「無税国家論」
について掘り下げていきたいと思います。
「無税国家?税金がゼロになるなんて、そんなことありえない!」
と思う人もいるかもしれません。
でも、松下翁がなぜ、どのような意図で
この壮大な構想を提唱したのか、
その真髄を理解すると、
きっと皆さんの日本社会に対する見方も変わるはずです。
松下幸之助翁の「無税国家論」って、どんな考え方だったの?
まずは、松下翁の「無税国家論」
の基本的な考え方からお話ししましょう。
彼がこの考え方を打ち出したのは、
戦後の日本が経済的に成長し、豊かな社会になっていく過程でのことでした。
松下翁は、企業経営を通じて「生産性の向上」と「富の増大」を追求し続けました。
そして、
「この世の資源は無限であり、
人間の知恵と努力によって、いくらでも富を生み出すことができる」
という、非常にポジティブで壮大な哲学を持っていました。
彼の「無税国家論」は、大きく分けて二つの柱で成り立っています。
-
「生産性の飛躍的向上と富の増大」:
-
松下翁は、当時(そして現代も)の税金の仕組みを、
-
「パイが限られている中で、そのパイをどう分け合うか」
という発想だと捉えました。しかし、彼の考え方は全く逆でした。
-
「生産性を極限まで高め、誰もが働きがいを持って生産活動に励めば、
-
社会全体の富はいくらでも増やせる。その富が膨大になれば、
-
あえて税金という形で取り立てる必要がなくなるのではないか」
-
と考えたのです。つまり、国家の財源を「税金」に求めるのではなく、
-
「国家が自ら経済活動に参加し、事業収益を上げる」
-
ことで賄うべきだ、という発想だったわけです。
-
「国民が安心して働ける環境の整備」: 税金がない社会、
-
あるいは税金が極めて低い社会になれば、人々は稼いだお金をそのまま使えるようになります。
-
消費が増え、投資が活発になり、結果としてさらに経済が発展し、
-
富が循環するという好循環が生まれると考えました。
-
これにより、国民は「税金に苦しむ」ことなく、
-
安心して、そして意欲的に働くことができるようになり、
-
個人の幸福感も増す、というビジョンを描いていました。
簡単に言えば、
「国が自ら事業をして富を増やし、その利益で社会を運営する。
そうすれば国民は税金に悩まされず、もっと豊かに、もっと自由に暮らせるようになる!」
という、まさに経営の神様らしい、大胆かつ夢のある構想だったわけです。
現代の日本はどんな状況?
さあ、この松下翁の考え方を、今の日本に当てはめてみましょう。
現代の日本は、松下翁の時代とはまた異なる、
深刻な財政課題を抱えています。
- 膨大な国の借金(財政赤字): 日本の国の借金は、膨大です。
- これは、少子高齢化による社会保障費の増大、
- 公共事業費、過去の景気対策などが積み重なった結果です。
- 社会保障費の増大: 高齢化が進むにつれて、
- 年金、医療、介護にかかる費用は増え続けています。
- この費用をどう賄うかは、日本社会全体の大きな課題です。
- 税負担の増加と国民の閉塞感: 国の財政を支えるため、
- 消費税率の引き上げや、所得税・住民税などの
- 負担も決して軽くはありません。
- これにより、国民の間には「税金が高すぎる」
- 「将来が不安だ」といった閉塞感が漂っています。
- 低成長経済: 経済成長が鈍化しているため、
- 税収が伸び悩んでいます。これは、
- 財政状況をさらに厳しくする要因となっています。
- グローバル競争の激化: 企業が海外に出ていったり、
- 人材が海外に流出したりする中で、
- 日本国内での税収基盤が揺らぐ可能性も指摘されています。
このように、現代の日本は「増税」と「社会保障」という、
まさに「限られたパイの分け合い」という課題に直面しています。
まさに、松下翁の無税国家論が現代に投げかける問いは、
非常にタイムリーで、かつ重要なものと言えるでしょう。
松下幸之助翁の「無税国家論」
を現代に当てはめる!財源の新しい考え方と未来の社会像
では、松下翁の無税国家論の精神を現代にどう活かし、
日本の財源の新しい考え方と未来の社会像を提案できるでしょうか。
キーワードは、「国家の事業創造と社会貢献」
そして「国民一人ひとりの生産性向上と幸福追求」です。
1. 「国家の事業創造と利益還元」への転換
松下翁の提唱した「国家が事業を行って利益を上げる」
という考え方を、現代の日本に即して再構築します。
これは、政府が全ての事業を直接運営する、という単純な話ではありません。
-
戦略的投資と成長産業の育成:
-
国は、未来の日本の成長を牽引する
-
戦略的な産業分野に、大胆に投資を行います。
-
これは、既存の企業活動を圧迫するものではなく、
-
むしろ民間ではリスクが高くて手が出しにくい、
-
しかし将来的に大きな利益を生み出す可能性のある分野が対象です。
-
- 事例:
- 再生可能エネルギーインフラ事業:
- 広大な未利用地(山林や沿岸部)を活用し
- 、国が主導して大規模な洋上風力発電所や地熱発電所
- を開発・運営します。そこで得られる電力は、
- 国民に安価に供給するだけでなく、
- 余剰分は海外に輸出することも考えられます。
- これにより、エネルギーの安定供給、CO2排出量削減、
- そして新たな国家収入源が生まれます。
- 例えば、北欧諸国では国営の電力会社が大きな収益を上げており、
- その利益が国民の生活に還元されています。
- 先端技術開発・応用プラットフォーム:
- AI、量子コンピューティング、バイオテクノロジーなど、
- 将来的に大きな経済効果を生む
- 最先端技術の研究開発に国が積極的に投資し、
- その成果を社会全体に還元するプラットフォームを構築します。
- 研究機関やスタートアップへの支援を強化し、
- 特許収入や事業化による利益を国家の財源とします。
- 例えば、アメリカのDARPA(国防高等研究計画局)は、
- インターネットやGPSなど、後の社会を大きく変える技術開発に
- 初期投資を行い、その成果が民間企業によって普及することで、
- 莫大な経済効果を生み出しました。
- 国際的なインフラ輸出事業: 日本が培ってきた高品質な
- インフラ技術(高速鉄道、スマートシティ技術、災害対策技術など)を、
- 開発途上国や新興国に積極的に輸出する事業を国が主導します。
- ODA(政府開発援助)と連携しながら、
- 事業として利益を生み出し、日本の国際貢献と経済成長を両立させます。
- 事例:
-
国有資産の有効活用と収益化: 現在、国や地方自治体が保有する未利用の土地、
-
公共施設、知的財産などを、単なる「資産」としてではなく、
-
「収益を生み出す源泉」として捉え、有効活用します。
- 事例:
- 国立公園・観光資源のブランド化と運営:
- 日本の美しい国立公園や歴史的建造物など、
- 世界に誇る観光資源を国が主体的にブランド化し、
- 質の高い観光サービスを提供することで収益を上げます。
- 入場料や関連商品の販売、宿泊施設の運営など、
- 民間と連携しつつも、国が「プロデューサー」
- として収益構造を確立します。
- 知的財産の活用とライセンス事業: 国の研究機関や
- 大学で生まれた画期的な技術や特許を、国が積極的にライセンス化し、
- 国内外の企業に提供することでロイヤリティ収入を得ます。
- これは、知的な富を国家の財源として活用する新しい形です。
- 事例:
2. 「国民一人ひとりの生産性向上と意欲促進」
税金が「負担」ではなくなれば、国民はより自由に、
より意欲的に生産活動に励むことができます。
その結果、社会全体の富はさらに増大し、
結果として国家の事業収益も増えるという好循環を目指します。
-
「生産性」の再定義と「幸福」の追求:
-
ここでいう「生産性」は、単にモノをたくさん作るということではありません。
-
AIやロボットが代替できる仕事はそれらに任せ、
-
人間はより創造的で、付加価値の高い仕事に集中できる環境を整備します。
-
これにより、個人のスキルアップや自己実現が促進され、
-
社会全体の活力向上につながります。
- 事例:
- 生涯学習の機会の充実とリスキリング支援:
- 国や自治体が、国民が最新の技術や知識を学べる
- オンライン講座や研修プログラムを無償または安価で提供します。
- これにより、多様なスキルを持った人材が育ち、
- 新しいビジネスやサービスが生まれる基盤となります。
- 例えば、デジタルスキル標準に合わせた公的トレーニングプログラムを全国展開し
- 、誰もがAIやデータサイエンスの基礎を学べるようにします。
- 起業支援とチャレンジの促進: 新しいアイデアを持つ人が、
- リスクを恐れずに起業できるような環境を整備します
- 。起業時の資金援助、メンターシッププログラム、
- 失敗しても再チャレンジしやすい社会システム(セーフティネット)
- を構築します。これにより、多様なビジネスが生まれ、
- 経済全体の活性化につながります。
- 例えば、**「スタートアップ特区」**を設け、規制緩和や
- 税制優遇、専門家による支援を集中させ、国内外からの起業家を呼び込みます。
- 事例:
-
「安心」が「意欲」を生む社会: 社会保障費の多くを
-
国家事業の収益で賄えるようになれば、
-
国民は老後や病気への不安が減り、より積極的に消費や投資に回せるようになります。
-
- 事例:
- 公的サービスの質の向上と無償化: 医療や教育など、
- 国民の生活に不可欠な公的サービスの質をさらに向上させ、
- 将来的には一部のサービス
- (例えば、出産・育児に関わる費用、義務教育以降の高等教育費の一部)
- を無償化することで、国民の生活負担を軽減し
- 、少子化対策にも貢献します。
- ベーシックインカムの検討(段階的導入)
- : 国家事業収益が安定的に確保できるようになった段階で、
- 国民一人ひとりに最低限の生活を保障する「ベーシックインカム」
- 導入を検討します。これにより、人々は生活の不安から解放され、
- より自由に自分の興味や才能を追求し、
- 社会貢献活動や新しい創造活動に時間を使えるようになります。
- 事例:
3. 「情報公開と透明性」
松下翁の無税国家論は、国家が巨大な事業体となることを意味します。
そのためには、国民の信頼が不可欠であり、
徹底した情報公開と透明性が求められます。
- 「国家事業」の見える化: 国が行う全ての事業について、
- その収益、費用、社会貢献度などを詳細に国民に公開し、
- 国民が「自分たちの国の事業」として認識し、理解を深められるようにします。
- 国民参加型ガバナンス: 国家事業の意思決定
- プロセスがより反映される仕組みを導入します。
- オンラインプラットフォームを通じた意見募集や、
- 専門家と市民が参加する「未来会議」の定期開催など、
- 国民が「共感」し、「参画」できる機会を増やします。
将来の日本、どんな姿を目指すの?
これまでの話をまとめると、
松下翁の「無税国家論」の精神を現代に活かすことで、
将来の日本は、
**「国家が創造的な事業活動を通じて富を生み出し、
その利益を国民に還元することで、税負担に悩まされず、誰もが安心して、
そして意欲的に自己実現できる、活力に満ちた循環型社会」**を目指します。
具体的には、
- 経済的負担が軽減された、自由で豊かな国民生活: 税金による負担が減り、
- 個人の可処分所得が増えることで、消費や投資が活発になり、生活の質が向上します。
- 国家と国民が共に「事業創造者」となる社会: 国は未来の成長産業を育成し、
- 国民はそれぞれの立場で新たな価値を生み出すことに貢献します。
- 「不安」が少なく、「意欲」が刺激される社会: 社会保障が国家事業に
- よって支えられることで、老後や病気への不安が軽減され、
- 人々は安心して新しいことに挑戦できるようになります。
- 透明性の高い、信頼される国家運営: 国家の事業活動が明確に可視化され、
- 国民がその運営に参加できる仕組みが整っています。
これは、従来の「税金を徴収して分配する」という国家のあり方から、
「自ら稼ぎ、自ら投資し、国民と共に富を創造する」という、
まるで巨大なベンチャー企業のような、新しい国家像への転換とも言えるかもしれません。
私たち一人ひとりにできること
「無税国家」という言葉を聞くと、まるでユートピアのように聞こえるかもしれません。
しかし、松下翁が示したのは、単なる理想論ではなく、
**「生産性向上への飽くなき追求」と「人間の可能性への深い信頼」**という、経営者としての信念でした。
私たち一人ひとりにできることは、
- 「無税国家」という概念を深く理解し、議論すること:
- これまで当たり前だと思っていた税金や国家の財源のあり方について、
- 多角的に考え、議論に参加することです。
- 自身の「生産性」を高める努力を惜しまないこと:
- AIや新しい技術を学び、自分の仕事や生活にどう
- 活かせるかを考え、スキルアップを続けることです。
- 新しい価値を創造することにチャレンジすること:
- どんな小さなことでも構いません。新しいアイデアを形にしてみる、
- 地域に貢献する活動に参加してみるなど、
- 自らが社会の富を生み出す一員となる意識を持つことです。
松下幸之助翁は、決して諦めない精神で、常に未来を見据えていました。
彼の「無税国家論」は、単に税金をなくすという話ではなく、
私たち自身の意識改革と、日本社会全体の
「生産性」と「幸福」を最大化するための壮大な問いかけなのです。
この大胆なビジョンを、私たち一人ひとりが真剣に考え、
行動することで、未来の日本をより豊かで希望に
満ちたものにしていけるはずです。共に、新しい日本の姿を創造していきましょう!

石川博信

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