稲盛和夫氏 生き方
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最終更新日:2025/08/01
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経営者の偉人 稲盛和夫氏
京セラ創業者であり、第二電電(現KDDI)の設立者でもある稲盛和夫氏です。
経営者である前に、一人の人間としてどう生きるべきかを、
これほど深く問い続けた人は、そう多くはいないと思います。
今回は、稲盛氏の生き方から、
現代の私たちが学ぶべき本質について、私なりにお伝えしてみたいと思います。
幼少期の逆境と「利他」の精神
稲盛氏は1932年、鹿児島県に生まれました。
小児結核に苦しみ、家計も決して豊かではなかった少年時代。
特に、戦中・戦後の混乱期を生き抜いた経験が、
彼の「粘り強さ」と「苦しみから学ぶ姿勢」を育てたのだと私は感じます。
大学卒業後、名もなき小さな会社に就職。そこで陶磁器の技術開発に没頭し、
やがて独立し京セラを創業。たった8人の仲間とともに、後に世界的企業へと成長させました。
この過程で一貫していたのが、「利他の精神」です。
稲盛氏は、「人間として正しいことを貫く」「損得ではなく、善悪で判断する」ことを徹底し、
社員や取引先、社会全体の幸せを第一に考えて経営を行ってきました。
現代の経営において、ESGやサステナビリティが叫ばれていますが、
稲盛氏はすでに50年以上前からその本質を体現していたのです。
「経営は哲学である」という信念
私が強く共感するのは、稲盛氏が繰り返し語っていた言葉、
「経営とは、単なる利益追求ではない。
人間として正しいことを積み重ねていく哲学である」
という信念です。
どれだけ利益が出ても、
その過程に嘘やごまかしがあっては、長く続きません。
逆に、誠実に、正しいことを貫く会社は、
どんな荒波にも耐える力を持っている。
実際、稲盛氏はJAL再建という前代未聞のミッションに、無報酬で挑みました。
破綻寸前だったJALを、たった2年で黒字回復に導いたその姿は、
多くの経営者に「経営とは何か」を突きつけたのではないでしょうか。
社員一人ひとりと向き合い、「何のために働くのか」「仕事の目的とは何か」
を問いかけ続けた。数字の前に心のマネジメントをしたからこそ、
JALは生まれ変わったのだと思います。
「動機善なりや、私心なかりしか」
稲盛哲学を象徴する有名な言葉に、
「動機善なりや、私心なかりしか」
というものがあります。
これは、何かを始めるとき、その動機が「善」であるかどうか。
そこに「私利私欲」が混じっていないか、自らに問え、という教えです。
事業の選択、投資の判断、人との関わり、
すべての起点にこの問いを置くことで、迷いやブレがなくなるんです。
短期的な利益より、長期的な信頼。
表面的な評価より、内面の誠実さ。
稲盛氏のこの姿勢は、まさに経営と人生の「羅針盤」だと思います。
「心を高める、経営を伸ばす」
稲盛氏のもう一つの名著に『心を高める、経営を伸ばす』
というタイトルがあります。
この言葉の通り、企業が成長するには、
まず経営者自身の心が成熟していなければならないと説いているんです。
これは実際、耳が痛い言葉でもあります。
どこかで自分の評価や利益を優先したくなる。
リスクを避けたくなる。
責任を誰かに押し付けたくなる。
でも、そうした「心の弱さ」に向き合い、
乗り越えてこそ、真のリーダーシップが生まれる。
だから稲盛氏は、経営の指南書というよりも、
人間学としての教えを残してくれているのだと私は思います。
私たちに必要なのは「利他と本気」
稲盛氏が何度も語っていたキーワードがあります。
それが「利他」と「本気」。
この2つがそろえば、どんな逆境も乗り越えられる。
そう断言していました。
利他とは、人のために尽くす気持ち。
本気とは、自分を燃やし尽くす覚悟。
シンプルですが、この2つが本当に難しい。
でも、私たちが「この事業で誰を幸せにするのか」と問い続け、
「どこまで自分が本気になれるか」と向き合えば、必ず道は開けると信じています。
稲盛氏の生き方を見ていると、派手さではなく、
静かな情熱と覚悟の連続こそが、人と企業を成長させるのだと教えられる気がするのです。
経営とは、人間を磨く修行の場
稲盛氏は、「経営とは、人間を磨く場」だとも語っています。
経営というのは、技術やノウハウだけでなく、
経営者自身の人格・生き方が問われるものだと。
どんなに優れた戦略があっても、経営者が傲慢であれば、人は離れます。
逆に、たとえ未熟でも、
誠実で真摯に学び続ける姿勢があれば、人が集まり、事業は育つ。
この言葉に、どこか救われた気持ちになりました。
経営は「勝ち負け」ではなく、「生き様」なのだと。
まとめ ~ 稲盛氏が遺してくれたもの ~
2022年、稲盛和夫氏は90歳でその生涯を閉じました。
しかし、彼が遺してくれた哲学と実践は、
今も多くの経営者やビジネスパーソンの中で息づいています。
私自身も、迷ったときは必ず稲盛氏の言葉に立ち返ります。
– 動機善なりや、私心なかりしか
– 心を高める、経営を伸ばす
– 利他の心で経営せよ
これらは、変化の激しい現代においても、
むしろその価値を増していると感じます。
経営に悩むとき、人間関係に迷うとき、
自分を信じられなくなるとき。
稲盛哲学は、そんなときにこそ力をくれる
「灯台」のような存在です。
皆さんも、自分のビジネスや人生の中で、
一度この偉大な経営者の言葉に触れてみてはいかがでしょうか。
きっと、大切なものを思い出させてくれるはずです。

石川博信

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