中村天風に学ぶ「人生のつくり方」
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最終更新日:2025/12/23
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土台とことばと種まきの話
中村天風に学ぶ「人生のつくり方」
「土台を考えないでいて、家の構造ばかり考えたって、
その家は住むに耐えられない家になっちまうでしょう。
人生もまたしかりであります。」
仕事をしていると、
この中村天風の言葉は、まさに胸に突き刺さるものがあります。
どれだけ立派な間取りや最新設備を揃えても、
肝心の基礎がぐらついていては、安心して住むことはできません。
人生も同じで、見た目の華やかさやテクニックばかり追いかけて、
肝心の「土台」をおろそかにしてしまうと、どこかで必ず無理が出てきます。
■人生の「土台」とは何か
では、人生における「土台」とは何でしょうか。
中村天風は、繰り返し「心の持ち方」の大切さを説きました。
どんなに立派な目標やスキルを手にしても、
心の土台が弱ければ、
ちょっとした逆風で折れてしまう。
逆に、土台がしっかりしていれば、多少の揺れはあっても、簡単には倒れない。
・自分をどう見るか(自己イメージ)
・人や世の中をどう見るか(世界観)
・出来事をどう捉えるか(解釈の習慣)
こうした「見えない部分」こそが、人生の土台です。
「俺は運が悪いなあ」と思う代わりに、
「何か自分の心構えや方法に誤りがあったことを、
天が教えてくれているんだな」と受けとめる。
天風は、そんな風に考え方を切り替えることを勧めています。
同じ出来事でも、「自分はついてない」と解釈するのか、
「ここから学べることがある」と解釈するのかで、
その後の行動はまるで変わってしまいます。
■言葉は、人生を形づくる「型」
天風の言葉の中で、
僕が特に印象深く感じるのが、
言葉の力についての教えです。
「どんな場合にも『こまった』『弱った』『情けない』『腹がたつ』『助けてくれ』なんていう消極的な言葉を、絶対に口にしないことです。」
「言葉には人生を左右する力があるんです。
この自覚こそが人生を勝利にみちびく、最良の武器なんですよ。」
私たちは、日々、何気ない言葉を口にしています。
「もうダメだ」「最悪だ」「どうせ無理だ」。
そうした言葉は、ただの音ではなく、自分の心に刷り込まれていく「暗示」です。
逆に、
・大丈夫、なんとかなる
・まだやれることがある
・この経験が必ず役に立つ
といった言葉を意識的に選ぶことで、
自分の心の向きがじわじわと変わっていきます。
天風は、「常に善良な言葉、人を勇気づける言葉、
人に喜びを与える言葉のみを使っている人は、
心がけなくても人に幸福を分けている人だ」
とも語っています。
自分のためだけでなく、
周りの人の人生にも、言葉は静かに影響を与えているのです。
■人生は「蒔いた種子」のとおりに実る
中村天風の言葉の中に、こんな一節があります。
「一切の人生の果実は、その人が蒔いた種子のとおり表現してくる。」
私たちが今、現実として味わっている「果実」は、
過去に自分が蒔いてきた「種」の結果です。
・どんな考え方を選んできたか
・どんな言葉を使ってきたか
・どんな行動を積み重ねてきたか
これら一つひとつが、小さな種となって、
時間をかけて芽を出し、やがて果実となって現れてきます。
そう考えると、「嫌な現実」に出会ったときこそ、
「自分はどんな種を蒔いてきたのだろう」
と振り返るチャンスなのかもしれません。そして同時に、
「今日という一日」に、どんな種を蒔き直すのかを選び直すチャンスでもあります。
■持たなくていい荷物を、背負っていないか
天風は、こんな問いかけも残しています。
「持たなくてもいい重い荷物を、誰に頼まれもしないのに一生懸命ぶらさげていないか。」
この「重い荷物」とは、過去の失敗への後悔かもしれません。
誰かから言われた心ない一言かもしれません。
あるいは、「こうでなければならない」という、
自分で自分を苦しめている思い込みかもしれません。
・昔のミスを何度も思い出しては、心の中で自分を責め続ける
・「あの人に言われた言葉」が頭から離れず、前に進めない
・完璧な自分であろうとして、いつも肩に力が入ってしまう
誰かに「それを持ちなさい」と頼まれたわけではないのに、
自分でしがみついて離そうとしない荷物。そうしたものを、
一度そっと下ろしてみる勇気も、人生の土台を整える大切な一歩です。
■心まで病ませない、心まで悩ませない
天風はまた、「たとえ身に病があっても、心まで病ますまい。
たとえ運命に非なるものがあっても、心まで悩ますまい」と語りました。
人生には、自分ではどうにもならないことが確かに起こります。
病気、事故、経済状況、環境の変化…。すべてをコントロールすることはできません。
しかし、「その出来事に対して、どんな心の態度をとるか」は、
いつも自分で選ぶことができます。
・苦しい状況を、ただ嘆くか
・そこから何かを学ぼうとするか
・誰かを恨むか
・自分の心の使い方を見直すきっかけにするか
心まで一緒に病ませてしまうのか、
それとも心だけは健やかに保つのか。
その選択が、同じ状況の中でも、
まったく違う人生の質を生み出していきます。
■今日からできる、土台づくりの三つの習慣
最後に、中村天風の教えをヒントにしながら、
今日からできる小さな実践を三つだけ挙げてみます。
一つ目は、「使う言葉を意識的に選ぶ」こと。
「困った」「もうダメだ」という言葉が出そうになったら、
「さて、どう工夫しよう」「まだやれることがあるはずだ」
と言い換えてみる。
口ぐせが変わると、心の向きが変わり、やがて行動も変わっていきます。
二つ目は、「今日蒔く種を一つだけ決める」こと。
仕事でも家庭でも、自分の人生にとって良い種を、
一日一つでいいから蒔いてみる。学びの時間をつくるでもいいし、
誰かに感謝を伝えるでもいい。
「今日はこの種を蒔いた」と夜に振り返れるようにしてみる。
三つ目は、「いらない荷物を一つ下ろす」こと。
過去の後悔、誰かへの怒り、「こうあるべき」という思い込み。
その中から一つだけ選んで、「これはもう、今日で手放そう」
と心の中で決めてみる。すぐには変わらなくても、
「手放す」と決めた瞬間から、荷物は少しずつ軽くなっていきます。
土台が整えば、上にどんな家を建てるかは、自由です。
どんな仕事を選び、どんな生き方をデザインするか。
その「創作の楽しみ」は、
しっかりとした土台の上ではじめて、のびのびと発揮されます。
人生は創作です。中村天風の言葉を、あなた自身の土台づくりのヒントとして、
今日の一日を少しだけ丁寧に味わってみていただけたら嬉しく思います。
石川博信
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