著名人、高名な方への営業アプローチ
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最終更新日:2025/09/09
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天の岩戸開きを実現させた智慧の神様 オモイカネの神
世に難題はあるが、解決への糸口は今も参考になる。
今回紹介するのは、その一つ。
著名人、高名な方へのアプローチだ。
これらの方々には、様々なプレゼンが日々されていることは、
容易に想像できる。
そして、時間もそう取れないことも、会えないことも
考えられる。
そこで、どういう行動をして、突破口をひらいたか。
そんな話を出版社の例で紹介したいと想います。
2004年刊行『生き方』(サンマーク出版)は
2013年に100万部突破。日中累計で約730万部に伸長。
・編集者がホテルに“カンヅメ”となり、
既刊+盛和塾会報を徹底精読。詳細目次と
数十ページの見本原稿、情熱的な手紙を同封。
・すでに複数社が“順番待ち”だったが、
準備量と熱量で“列を飛び越え”て受注。
著名人の扉は、説明では開かない。
開くのは“完成の断片”であり、“初速の絵”であり、“なぜあなたなのか”という物語だ。
稲盛和夫『生き方』の舞台裏は、その原理を最も端的に示す。
相手に会う前から、編集者はホテルにこもり、
既刊と会報を一次情報として貪欲に吸い込む。その上で、
詳細目次と数十ページの見本原稿を先に差し出す──
つまり、お願いの前に“成果の先出し”をする。さらに「代表作を作りたい」という本気の手紙で、
プロジェクトの意味(Why)を言語化して届ける。結果、順番待ちの列を、
準備の密度で飛び越えた。ここには再現可能な方程式がある。
第一に、コンセプトは背表紙1行で立てる。
「多動力」「生き方」「Dreams from My Father」。
この一行が、企画の九九であり、“買う理由”の核である。
長い説明は、著名人の時間コストを浪費する。
短い一行こそが、可処分注意を射抜く最小単位だ。
第二に、骨格を先出しする。目次と試し書きの提示は、相手の想像負荷をゼロにし、
意思決定を一往復で終わらせる設計である。
第三に、初速の絵を見せる。発売前の連載、発売週のメディア面展開、
90日後の翻訳・海外配本の打診先まで“地図”を用意する。
著名人は「すでに火がついている場所」に乗りやすい。
火種→点火→延焼のシーケンスを可視化することが、口説きのUXだ。
幻冬舎×堀江貴文『多動力』は“場の先行設計”の教科書だ。
レーベルとコミュニティ、SNSとメディアが一体化した動線に、
著者が合流する。ここで重要なのは、著者の時間摩擦を極小化すること。
撮影・収録・原稿の導線を一本化し、移動や確認の負担を編集側が背負う。
“あなたはコンテンツの核だけに集中してください”という約束が、
著名人の最大の不満(時間の分散と中断)を除去する。
結果、初速が立ち上がり、派生へと増殖する。
タイトル・キーフレーズ先行、コミュニティ連動、連載→書籍→漫画化の連鎖──
これは「先に熱を作り、そこへ合流いただく」という逆指名のデザインである。
オバマ『Dreams from My Father』は“弱シグナルへの投資”の勝ち筋だ。
ハーバード・ロー・レビュー初の黒人編集長という時点で接触し、
4万ドル規模の前払いで口説く。初動が静かでも、
人物の象徴性が社会的に立ち上がる局面で、価値は反転する。
つまり、フォロワー数ではなく物語の射程に賭けるということだ。
著名人アプローチの本質は、有名人に近づくことではない。
“これから象徴化する人間”の物語に、適切なタイミングで伴走することにある。
では、実装に落とすと何を作ればよいのか。
①ワンライン・コンセプト(背表紙化可能な一行)。
②三章×各六トピックの詳細目次と10〜20ページの試し書き。
③初速の一枚絵(発売前の露出、発売週の面展開、90日後の海外・派生)。
④人間の手紙(なぜこの人の、なぜ今なのか、あなたが責任を負う宣言)。
⑤合流の導線(先に熱を作る。連載や短尺動画で“既に回っているプロジェクト”にしておく)。
この5点セットを“会う前に”準備するのが、列を飛び越える唯一の近道だ。
コピーの作法も共有しておく。「この一行で、10年後にも指させます。」
──コンセプトの覚悟を宣言する。「すでに原稿は回り始めています。」──
成果の先出しを短文で告げる。「初速の三週間は、私が設計します。」
──時間摩擦を解消する約束。「これはあなたの代表作である必然を証明します。」
──Whyの核心に触れる。いずれの文も、
相手の不安(時間・品質・再現性)を事前に無化する意図で設計されている。
最後に、失敗の典型を三つ。
第一に“説明だけ”の依頼書。完成の断片がない依頼は、検討の土俵にすら上がらない。
第二に、初速の外部証明がない企画。
予約数、フォロワー連動、連載PV、提携メディア──何でもよい、
外部に火が見える証拠を一つ。
第三に、長期の海図がない設計。翻訳、教育、講演、映像化、コミュニティ──
著者本人が“この先の拡張像”を想起できるかが採否を分ける。
著名人は、量(準備)×質(設計)×勢い(初速)の掛け算でしか動かない。
だからこそ、私たちは“会う前に勝ちを作る”。その一歩先の丁寧さこそが、扉を静かに開ける。
4. 出典・参考
・東洋経済オンライン(2022/9/9)「稲盛和夫さんの『生き方』が強烈に支持された訳」https://toyokeizai.net/articles/-/617158
・NewsPicks Book/箕輪厚介氏の対談・実績(2017–)
・The Century Foundation(2006/10/30)Peter Osnos “Barack Obama and the Book Business”
・『Dreams from My Father』謝辞:Jane Dystel/Henry Ferris の記載
① 幻冬舎×堀江貴文『多動力』(2017)
・NewsPicks Bookレーベルと連動し、著者の既存発信とSNS・メディアを束ねて“初速の場”を先に設計。
・編集者(箕輪厚介氏)のプロデュースにより、タイトル/キーメッセージを核に露出動線を一気通貫で用意。
・書籍→漫画版や派生コンテンツへ広がり、レーベルの代表作に。
② Times Books(米)×バラク・オバマ『Dreams from My Father』(1995)
・エージェント(Jane Dystel)がTimes Booksの編集者Henry Ferrisらに接触。無名期の若手に対し、約4万ドルの前払いで書籍化。
・初版は穏やかな売れ行きでも、のちの政治的台頭で価値が反転。長期の“象徴性”を見抜いた先見投資の成功例。

石川博信

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